【公務員のクレーム対応】言い返すのはNGです!
「クレーム対応が苦手で、つい言い返してしまいそう…」
「どうしても感情的になってしまって、相手がさらに怒ってしまう」
「クレーマーの強い言葉にどう対応すればいいかわからない」
こうした思いを抱えている公務員の方も多いのではないでしょうか。
公務員に対する住民の要求は多く、私もクレーム対応を何度もしてきました。
しかし、クレーム対応にはコツがあります。
それは、言い返すより前に、まずは相手の話を聞くことです。
冷静に話を聞くだけで、相手の怒りが和らいでいくケースは意外と多いんです。
私は公務員として20年経験し、多くの苦情を対応してきました。
過去の経験をもとに、実践的な解決策をご紹介します。
★コミュニケーションのノウハウを1から学んでみませんか
コミュニケーションスキルは論理的に学び実践する事で、着実に向上していきます。
会話が苦手な人でも円滑に人間関係を構築できるコツを今から学びましょう。
【クレーム対応の極意】まずは聞くことから
最初の対応が肝心!相手に話してもらうことの重要性
クレーム対応の基本は、相手にしっかり話してもらうことから始まります。
まず話を聞く理由は以下の2つです。
・相手の主訴を掴む
・クールダウンしてもらう
公務員としての仕事の中でも、様々な苦情や不満を受けることが多いですが、その時にまず焦らず、相手の話を丁寧に聞く姿勢が重要です。
相手が何に不満を持ち、どこに問題を感じているのかを把握しなければ、適切な対応はできません。
最初の対応が悪いと、相手はさらに感情的になり、その後の関係性が構築できません。
結果として、対応がさらに難しくなります。
ここで大切なのは、話を途中で遮らないこと。
相手の言いたいことを全て聞き終えた段階で、初めてこちらのターンが訪れます。
最初の印象をよくすることで、クレームがスムーズに収まるケースも多いので、焦らず相手に話してもらいましょう。
時間で区切ろうと思わずどんどん話してもらおう
あぁこの人に捕まったら今日は仕事できないな・・やることたくさんあるのに・・
こんな思いを抱く事もあるのではないでしょうか。
こちらもひとりひとりのクレーム対応を丁寧に聞いていたら、それ以外の自分の業務が全く進まず、つい話を短くまとめようとしてしまいがちです。
ですが、苦情を急いで解決しようとすると、逆効果になることが多いです。
これは感情の持続時間が関係していると言えます。
一般的なアンガーマネジメントでは「6秒ルール」といって、6秒経てば怒りは落ち着いてくると言われていますが、別の研究では興味深い結果が出ています。
ベルギーにあるルーヴェン大学のフィリップ・ヴァーダイン教授と、サスキア・ラブリセン教授は、2014年に研究の一環として感情の持続時間とその影響を計測するため、学生233名に感情的になった最近の出来事を思い出してもらい、その持続時間を報告してもらいました。
その結果、ネガティブな感情を上位から抜粋すると、以下の通りとなりました。
感情の種類 | 持続時間 |
憎しみ | 60時間 |
不安・落胆 | 24時間 |
妬み | 15時間 |
怒り | 2時間 |
クレームはこれらの感情が複合的に入り混じっている状態です。
つまり、苦情を数分で収めようとするのは、非常に困難であることが分かります。
相手が不満を持っている場合、話すことで自分の感情を整理し、冷静になっていくことがあります。
時間を掛けてでも、どんどん話してもらいましょう
話してもらうことで、相手の感情が徐々に和らぎ、対応がしやすくなります。
特に相手が感情的になっている場合、すぐに結論を出そうとするよりも、「話す場」を提供してクールダウンさせることが効果的です。
クレーム対応も自分の仕事の1つであると割り切って、時間に制限を設けようとするのはやめましょう。
相手の気持ちが落ち着くまで話してもらうことが、長期的に見てより円滑な対応につながります。
言い返さずに冷静に対応する方法
売り言葉に買い言葉はNG!感情スイッチはオフ
クレーム対応で最も避けるべきなのが、感情的に言い返してしまうことです。
そもそも、大人であればそれなりの対応ができます。
ですが、多忙であったり疲労が重なっている時が要注意です。
相手が攻撃的な態度を取ったり、挑発的な言葉を使ってきたりすると、ついこちらも感情的になりがちです。
相手はこちらの状況や立場など、お構いなしで言ってきますからね・・
しかし、そのような時であっても公務員としての立場を意識して、冷静さを保つことが必要不可欠です。
コツとしては、相手の苦情はそのまま「ただの言葉」と捉えましょう。
「ただの言葉を話している」状態です。
そしてそれに対し、神妙な顔&時々相づちを打ちます。
この状態を私は感情スイッチオフモードとしています
1つ1つの言葉や内容は、以上でもそれ以下でもありません。
また、ネガティブな言葉を深く飲み込む必要はありません。
感情スイッチをオフモードにして対応することで、表面的には相手は話したいことを聞いてもらっている状態になっています。
また、感情的であべこべになっている相手の言葉を冷静に整理して、相手の本当に伝えたいことをキャッチできます。
苦情は次第に落ち着いてくるので、こちらのターンまで一旦受け身の姿勢で待ちましょう。
相手をクールダウンさせるための聞き方
相手をクールダウンさせるためには、とにかく「聞く力」を発揮することが重要です。
相手が感情的に話し始めたら、まずはしっかりうなずき、相手の言葉に対して共感を示しましょう。
ですが、このときに個人的な意見挟むと、相手は「組織としての決定事項」だと認識してしまう可能性があります。
「あの時お前は〇〇って言っただろう!」とか後々言われますので・・
そのため、共感の形は
「(あなたが)そう思われるのも理解できます」
といった言葉で共感を示すと効果的です。
安易な同意ではなく、
(完全な賛成ではないが、個人ごとの意見があるので、そちらの意見も全く分からないでもない)
というスタンスを示すこと。
これで相手は否定をされていないので、気分を害する可能性も低いです。
こうして相手の感情の「波」を掴むことで、相手が冷静になるためのきっかけをつかみましょう。
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クレーマーの心理を理解する
相手の目的は?【言いたいだけ?答えがほしい?】
クレーマーの心理を理解することは、円滑な対応の第一歩です。
多くのケースで、クレームを言う人の目的は以下の2つに分かれます。
・要望に対しての明確な答えや事実が欲しい
・自分の気持ちを聞いてもらいたい(伝えたい)
言いたいことを言うことで感情を発散し、自然と解決に向かう人も少なくありません。
一方で、何か具体的な答えを求めている場合もあります。
この場合は、しっかりと要望を会話の中で導き出し、相手が納得するような答えを用意することが大切です。
相手が「ただ言いたいだけなのか」「具体的な解決を求めているのか」を見極めることが、スムーズなクレーム対応の鍵となります。
苦情相手が固執しているポイントを掴む
相手が何に対して最も不満を抱いているのか、話をじっくり聞くことで固執しているポイントを掴むことができます。
特に、相手が同じ言葉やフレーズを繰り返している場合、それが重要なポイントであることが多いです。
話があっちこっちに飛んじゃう場合も、要点部分に会話を誘導できるようになったら完璧です
このポイントをしっかりと理解しておけば、次に相手にどう対応すべきかが見えてきます。
固執しているポイントを押さえた上で、その部分に焦点を当てて共感や解決策を示すことで、相手は「理解してもらえた」と感じ、クレームが収束しやすくなります。
クレーマーを「敵」だと思うと相手も察知する
今からクレーマー対応が始まる・・絶対に負けない。屈しないぞ。
クレーマー対応はこちらにも緊張が走る仕事です。
ですが、クレーマーをはじめから「敵」だと身構えてしまうと、その感情は自然と言葉や態度に表れ、相手も敏感に察知します。
公務員としてクレーム対応をする際、相手との関係を「対立構造」にしてしまうと、クレーマーはますます感情的になり、問題解決が遠のいてしまうことがあります。
重要なのは、相手を「敵」ではなく、「理解すべき相手」と捉えること。
面倒くさがらず、真摯に向き合っていきましょう
話に脈絡は無くても、敵対する者に対する察知能力が高い人がたくさんいるので、態度から滲みでないよう、ご注意ください。
こちらのターンでの効果的な対応と言葉選び
相手の話で掴んだポイントに寄り添う
相手が冷静になり、話が一段落したら、こちらのターンです。
「ご意見いただきありがとうございます」
「少し私の方からお話させていただいてもよろしいですか?」
と、断りを入れた上で、丁寧にこちら側の実情を説明をしてきましょう。
正直、クレーム内容の大半が実現不可能な内容です・・
そのため、ここでやることは
「相手の気持ちに寄り添いながら、こちらの理解を求めること」です。
この際、相手が固執しているポイントに寄り添った言葉を選ぶことが重要です。
相手がこだわっている部分に対して共感しつつ、適切な言葉選びをすることで、クレームを円滑に解消することができます。
例えば、
「こちらも〇〇さんだからこそ、正直に申し上げますが、▲▲については、現状改善が難しい状況です。」
と、不可能なことは不可能だとハッキリ示さなければなりません。
続けてフォローとして
「しかし、これらについては、よりよい改善に向けて前向きに考えていく必要があると思っています」
といった形で、相手の意見を尊重しながら、ポジティブな返答を示すと効果的です。
こちらの事情として伝えるべきことは伝える
相手が落ち着いてきたら、こちらの事情や背景を適切に伝えるタイミングです。
この際、くれぐれも勢いや雰囲気に呑まれて安易な返答、自己判断はしないようにしましょう。
その場しのぎにはなるかもしれませんが、後々問題が大きくなってしまうこともあります。
ひとりひとりの意見を採用していたら行政が大混乱してしまいます。
そのため、伝えなければならないことは、毅然と伝える必要があります。
ですが、あくまで相手の話を尊重し、攻撃的な言い方にならないように注意しましょう。
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公務員が学ぶべきクレーム対応のスキル
クレーム対応は相手の感情を冷ます緻密な作業
クレーム対応は、ただの問題解決ではありません。
クレーマーである相手の感情を徐々に冷ましていく作業でもあります。
会話のやり取りに散りばめられた正解のピースを集めて、最適なゴールに導いていく。
とても労力の掛かる業務です。
感情が高ぶっている相手から発せられる言葉は地雷が多く、安全地帯が少ないです。
まず、話を聞くことで冷静さを取り戻してもらい、安全地帯の範囲を広げていきましょう。
その後に適切な対応でゴールまで進むことがポイントです。
これが上手にできる人はもれなく仕事がデキます。
クレーム対応は、複合的なスキルを必要とする高度な業務であることを踏まえた上で、対応能力を鍛え上げていくことをオススメします。
コミュニケーション能力の底上げが大事
クレーム対応は、単なる問題解決のスキルだけでなく、コミュニケーション能力全般を必要とする極めて難しい仕事です。
そのためにも、日頃からコミュニケーションスキルは磨いておく必要があります。
コミュニケーションスキルと経験値が高まってくると、自然と相手の主訴がすぐに分かるようになり、適切な言葉選びによって解決までのルートも瞬時に導き出せるようになります。
また、相手がクレーマーから一転して、好意的な味方になってくれることもしばしばあります。
人は、要求に対して満足した対応が得られると、信頼と親しみをもってくれます
日常的なコミュニケーション能力を高めておくことで、難しいクレームにも冷静かつ円滑に対応できるようになります。
コミュニケーションはロジカルに学ぶべき
公務員の現場に「プロ」はいない
公務員の業務は多岐にわたり、異動で担当業務も変わります。
ズバリ言ってしまうと、コミュニケーションだけを仕事にして、ひたすら追求している人はゼロです。
行政運営のプロではありますが、コミュニケーションやクレーム対応のプロではありません
コミュニケーションスキルは、自然と身に付くものだし、わざわざ学ぶほどではないと多くの方が感じていますが、それは大きな間違いです。
プロの的確な指導を受けていない状態で、自分がプロになれるはずもありません。
だからこそ積極的に基礎を学ぶべきですし、どの場面でも常に活かせる万能のスキル「コミュニケーションスキル」を高めない理由は無いと個人的には思っています。
コミュニケーションをスクールで学ぶ
公務員としてのクレーム対応をさらに強化するためには、専門的なコミュニケーションスクールで学ぶことが一番です。
なぜなら、既に技術を持っている方に教わるのが最短かつ、確実に力を身に着ける事ができるからです。
自己学習でも、初めの指導を受ける際には、必ず「師」がいます。
技術を発展させるための自己学習は良いですが、基礎の段階では師から直接学ぶことがとても大切です。
基礎を間違えると、その後の上達に大きな影響を及ぼしてしまいます
まずはスクールで学ぶことで、専門家による洗練された指導と、実践的なトレーニングを受けましょう。
ロジカルに考えながら様々な苦情に対応できる圧倒的なスキルを短期間で磨くことができます。
書籍や動画で学ぶ
時間が取れない場合は、書籍やYouTube等を通じてコミュニケーションスキルを学ぶことも有効です。
クレーム対応に特化した書籍も多く存在しているため、手軽に知識を深めることができます。
一方で、書籍ではインプットのみになってしまうというデメリットがあります。
インプットで満足して終わると、力としては身についてないんですよね・・・
そのため、積極的に知識を職場で実践するなど、アウトプットする機会を作って、自分自身の確かな力として定着させるようにしましょう。
★効果的なコミュニケーション術を1から学んでみませんか
コミュニケーションスキルは論理的に学び実践する事で、着実に向上していきます。
会話が苦手な人でも、最短効率で円滑に人間関係を構築できる技を今から学びましょう。
クレーム対応はコミュニケーション【まとめ】
公務員のクレーム対応について解説してきました。まとめると以下の通りです。
クレーム対応の基本
- 最初に相手の話をしっかり聞くことが重要。
- 話を途中で遮らず、相手が全て言い終わるまで聞くことで、初めてこちらの対応が可能になる。
- クレーム対応に焦らず、相手の感情が冷静になるまで話してもらうことがポイント。
時間を気にせず話してもらう重要性
- 急いでクレームを解決しようとすると、逆効果になることが多い。
- ネガティブ感情の持続時間は最低2時間~60時間。
- 相手の話を聞くことで、不満が和らぎ、感情が整理される。
- 時間制限を設けず、クレーム対応も自分の業務の一環と捉え、時間の許すかぎり相手が納得するまで対応したい。早々に切り上げようとするのはNG。
冷静に対応するコツ
- 感情的に言い返すのはNG。冷静さを保つことが最も重要。
- 相手の言葉は「ただの言葉」として受け止め、感情スイッチをオフにして対応することで相手も落ち着く。
相手をクールダウンさせる聞き方
- うなずきや共感の言葉を使い、相手の気持ちを理解していることを示す。
- 個人的な意見を挟まないようにし、あくまで相手の意見に共感する形で対応する。
クレーマーの心理を理解する
- クレームの目的は「話したいだけ」か「明確な答えが欲しい」のどちらかに分かれる。
- 相手の目的を見極めることで、適切な対応をすることが可能。
- 同じ言葉を繰り返す相手の固執しているポイントを把握し、そこに焦点を当てて共感することでスムーズな解決が図れる。
- 敵対視しないこと。相手も察知する。
こちらのターンでの対応
- 相手が話し終わったら、こちらの意見を丁寧に伝えるタイミングが来る。
- 対応が難しい場合でも、相手の気持ちに寄り添いながら適切な説明をすることで、納得してもらいやすくなる。
- 伝えなければならないことは毅然と伝えつつ、相手の話を尊重する姿勢を保つことが大切。
クレーム対応の技術を学ぶ重要性
- クレーム対応は相手の感情を冷ます緻密な作業であり、コミュニケーション能力が必要。
- 日常的にコミュニケーションスキルを磨くことで、相手の要望に迅速に対応でき、円滑なクレーム解決が可能になる。
コミュニケーションスキルの向上
- 公務員としてのクレーム対応を強化するためには、スクールで専門的なコミュニケーション技術を学ぶことが有効。
- 書籍や動画でインプットのみに終わらないよう注意
情報としてクレーム対応を学習しても、いきなり実践で使うのは難しいものです。
なぜなら、知識では分かっていても、経験が伴っていないからです。
ですが、公務員の現場でクレーム対応を徹底的に学ぶことはありません。
結果的にクレーム対応に大きなストレスを感じてしまい、仕事を休まざるを得ない人をこれまで多数見てきました。
そのような人を少しでも減らすために、何となく培ってきたコミュニケーションの方法を、あえてスクールで1から学び直すことをオススメしています。
気になった方は以下の記事をチェックしてみてくださいね。