公務員のタトゥーはダメ?【元公務員の経験から断言します】
「タトゥーが入っていると、公務員試験の選考に不利になるのかな?」
「職員になってからタトゥーが見つかったら、処分されるの?」
「タトゥーがあると、上司や同僚にどう思われるか心配…」
そんな悩みを抱えていませんか?
タトゥーはファッションとして見る人もいる一方で、まだまだ日本ではネガティブな印象が強いので、心配する気持ちはよくわかります。
結論としては、タトゥーは法律的に禁止されているわけではありません。
しかし、公務員としての風潮や、職場内外での見られ方を考えると、やはりタトゥーはおすすめできません。
すでにタトゥーがワンポイントでも入っているようなら、公務員業界では隠すべきです。
タトゥーがファッションとして一般化してきたとはいえ、日本の公務員としての職業的イメージは、まだ厳しいものがあります・・
私は公務員として20年勤務してきた経験があり、公務員業界の身だしなみについて、深く理解をしています。
そんな私が、公務員のタトゥーにまつわる法的判例や、実際に職場でどう対処すべきかについて交えつつ、詳しく解説していきます。
公務員のタトゥーはダメ?
「禁止」ではないが、限りなく「ダメ」な理由
ズバリ、タトゥーは公務員にとって完全に「禁止」とはされていません。
しかし、現実的にはタトゥーが公務員の選考や試験、職員としての生活において、悪影響を与える可能性が高いです。
公務員にとって、タトゥーでマイナスになることはあっても、プラスになることは無いに等しい・・といった感じですね
その理由は、以下の2つにあります。
日本の文化的背景
まず、日本ではタトゥー(入れ墨)に対する伝統的なイメージが根強く残っています。
かつては、反社会的な団体と関連付けられたり、職場や公共の場で不快に感じる人が多いことも事実です。
このような文化的な背景が、公務員という職業においてタトゥーを持つことが難しい状況を作り出しています。
職業の性質
次に、公務員という職業の社会的な信頼性が重視される点です。
公務員は市民に対して、公正で信頼できる存在であることが求められます。
そのため、タトゥーが見られることで「公務員らしくない」という印象を持たれるリスクがあります。
特に、面接や職場での評価において、タトゥーがネガティブな要素とされることは少なくありません。
さらに、公務員採用試験や1次選考の段階では、通常外見や服装は直接評価されることはありませんが、タトゥーに関しては、別格で印象を悪くする可能性があります。
採用できる成績だったのに、選考から漏れてしまう可能性も十分に考えられます。
わざわざ、タトゥー入っている人を採用するメリットが無いですからね・・・
このように、タトゥーは法的に禁止されているわけではありませんが、もし、公務員という立場的にタトゥーが入っている場合、職場や社会からの信頼を損なうリスクが高いです。
タトゥーが原因でクビになることはある?
タトゥー自体が、公務員の職を失う直接的な理由にはなりません。
公務員には厳格な服務規程がありますが、そこに「タトゥーによって免職」といった明確な規定は存在しないからです。
そのため、タトゥーが違反行為等の、直接的な処分や解雇の対象となることも、基本的にはありません。
ただし、問題となるのはタトゥーが原因で、職場や仕事に支障が出る場合です。
特に、タトゥーが市民や同僚に不快感を与えたり、職場内でトラブルに発展するケースでは、直接的ではないにせよ、結果的にタトゥーが要因で、懲戒処分につながる可能性があります。
タトゥーに関するトラブルのケース
公務員という立場と、タトゥーから想定されるトラブルを具体的に見ていきましょう。
市民からのクレーム
公務員は市民との信頼関係が重要です。
タトゥーが見えることで、
公務員なのに、入れ墨があっていいの?
と、市民からの苦情が寄せられる場合があります。
これが繰り返されると、職務に支障をきたすと判断され、職務を遂行できていないことに対する「戒告」などの処分対象になることがあります。
処分の中では一番軽いので、給与には影響はありませんが・・・ゆくゆく昇進等には関わるかもしれませんね。
公務員の懲戒処分については、コチラの記事で解説しています。
職場内での悪い空気
同僚や上司が、タトゥーに対してネガティブな印象を持つことがあり、それが職場の人間関係に悪影響を及ぼすこともあります。
特に、チームワークが重視される公務員組織では、タトゥーが原因でのチームワークの乱れが、昇進や評価に影響を与えることもあります。
職務への影響
先ほども述べましたが、公務員としての職務を遂行する上で、間接的にタトゥーが職務に支障をきたす場合、懲戒処分が下される可能性があります。
例えば、業務中にタトゥーが露出し、それが公務に悪影響を与えると判断されれば、注意や改善命令が出されます。
しかし、それに従わず、上司に改善が見込めないと判断されれば、最終的には処分の対象となることも考えられます。
タトゥーが直接的にクビの原因になることはありませんが、タトゥーが関与したトラブルが大きな問題に発展すれば、結果的に処分を受けるリスクはあります。
どれも日本ならでは・・・とも言えますが、タトゥーが公務員組織に馴染まないという認識を改めて持つ必要があります
既にタトゥーがあるならとにかく隠そう
若気の至りでちょっとタトゥーが入っちゃってる場合はどうしたらいい・・?
公務員としてタトゥーを持つことは、今の日本の社会ではあまり歓迎されていません。
しかし、すでにタトゥーが入っている場合、一番重要なのは「見えないように隠すこと」です。
公務員職員として働く上で、タトゥーが見えることは問題を引き起こす可能性があり、職場の人間関係や上司の評価にも影響を与えるかもしれません。
やはり、タトゥーが職場でどのように認知されるかを理解することが大切です。
公務員は市民に対して、誠実さや信頼性を示す必要があるため、タトゥーが公務員の職業イメージにそぐわないと感じる人が多いです。
特に、公共サービスを提供する場面では、タトゥーが見えることで市民に不快感を与えたり、トラブルの元になりかねません。
そのため、タトゥーが既にある場合は、とにかく隠すことを徹底しましょう。
タトゥーを隠す具体的な方法
昔に比べれば、タトゥー自体は日本でも受け入れられてきており、タトゥーを目立たせないための商品も数多く出されています。
具体的には、次のような方法がタトゥー隠しに役立ちます。
長袖や長ズボンを着用する
手や足にタトゥーがある場合、できる限り肌を露出しない服装を心掛けましょう。
夏の暑い時でも、長袖を着ているのは苦しい部分がありますが、それを脱ぐように命令されることはありません。
あくまで、見せないようにしているだけなので、わざわざ肌を見せるような行為は控えましょう。
タトゥーカバーシールやテープを使う
目立つ場所にタトゥーがある場合、カバーシールやテープで隠すのも一つの手です。
これにより、簡単にタトゥーを見えなくすることができます。
また、業務時間外であれば、そこまで過剰に配慮する必要も無くなるので、オンオフの切替が簡単にできます。
ただし、カバーなのでよく見えると隠していることがバレてしまうのでご注意を。
価格:11000円 |
専用のタトゥーカバーメイクを使う
タトゥー用のカバーメイクを使用することで、肌と同じ色にタトゥーをカモフラージュすることが可能です。
シールやテープが煩わしく、もっとしっかり隠したい、という方にはカバーメイクがオススメ。
撥水機能もあって高耐久。
TPOで使い分けつつ、肌を露出していても、バレにくい仕様になっています。
ただし、強い摩擦や数日で効果が無くなってしまうことに注意です。
価格:6600円 |
日本はまだタトゥーに対して寛容ではなく、目立つことで、思わぬトラブルを招きかねない。
自分の外見や行動に対する意識を高め、信頼を失わないよう努めるべき。
大阪市職員のタトゥーに係る判例
2012年、大阪市では職員の風紀を正そうと、教育委員会職員を除く全職員に対して「タトゥー(入れ墨)の有無に関する調査」を実施しました。
この調査は、職員のタトゥーに対する問題を確認し、対策を講じるためのものとされていました。
しかし、この調査に対して回答を拒否した2名の職員がおり、市は2名を戒告処分としました。
戒告処分とは、公務員に対する軽い懲戒処分の一種で、違反行為に対する注意喚起を目的としています。
大阪市は、この調査に対する回答拒否が市の規律に反していると判断し、処分を下しました。
しかし、この2人の職員は、戒告処分が憲法や条例に違反しているとして、処分の無効を争いました。
大阪地方裁判所での判決
この訴訟の第1審は、大阪地方裁判所で行われました。
裁判所は、大阪市が行ったタトゥー調査が「差別につながる情報の収集を禁じた市の条例に違反している」と判断し、2人に対する戒告処分を取り消しました。
この判決では、タトゥーが個人のプライバシーに関わる情報であり、無理に収集することは違法だと認められました。
大阪高等裁判所で「逆転判決」
しかし、大阪市はこの判決に不服を申し立て、大阪高等裁判所で再度争いました。
高等裁判所では、大阪市の立場を支持し、「職員に対する風紀維持のための調査は正当なものであり、戒告処分は適法である」との判断が下されました。
これにより、大阪市が逆転勝訴を果たしました。
そして、市の職員2名は上告をします。
最高裁判所での最終判決は?
さらにこの問題は最高裁判所まで持ち込まれ、最終的に2023年9月、最高裁判所は第1審の大阪地方裁判所の判断を支持しました。
最高裁は、大阪市が行ったタトゥー調査が市の条例に違反しており、職員のプライバシーを侵害したと結論づけました。
このため、大阪市が行った戒告処分は最終的に違法とされ、処分は無効となりました。
判例から分かるタトゥーに関する問題
最高裁までもつれ込んだこの判例から、以下のような背景が見て取れます。
・個人のプライバシーが尊重された
タトゥーに関する調査は、個人のプライバシーに関わる情報であり、強制的な調査はプライバシーを侵害していると捉えられ、違法とされる場合がある。
・職員の自由と風紀や規律のバランスを争った
公務員としての服務規律や風紀を保つための取り組みが、個人の権利とどのように調整されるべきか、が争点となった。
・裁判所でも判断が分かれた
この裁判は1審・3審と、2審の間で判決が分かれました。
それほど、法的にも難しい判断であることを示しています。
最終的には、最高裁判所の判決により、個人の自由が優先されることが示されました
しかし、この判例からも分かるように、公務員としてのタトゥーに関する問題が、法的にだけでなく、個人の自由と日本の文化、職場の規律等の、様々な要素によるバランスが複雑に絡み合っていることを示しています。
公務員タトゥーは時代がまだ追い付いてない【まとめ】
公務員のタトゥーについて解説してきました。まとめると以下の通りです。
タトゥーは公務として完全に禁止されていないが、現実的には「ダメ」
法的に明確な禁止規定はないが、日本の文化的背景や公務員の職務特性が、タトゥーに対して否定的な要素を強くしている。
日本の文化的背景と公務員の職務性質が影響
日本ではタトゥーが反社会的なイメージを持つことが多く、職場や公共の場で不快に感じる人が少なくない。
公務員は社会的に信頼性が重視されるため、タトゥーが「公務員らしくない」と見なされるリスクがある。
試験や面接時のタトゥーは評価に悪影響を与える可能性
採用時の面接でタトゥーが見られれば、ネガティブな印象を与え、公務員試験の選考にも悪影響を及ぼす可能性がある。
タトゥーが直接的にクビの原因になることはないが、職務上のトラブルは懲戒処分に繋がる可能性
公務員の服務規程に「タトゥー禁止」の明確な規定はないが、タトゥーが職務に支障を与えたり、職場で問題を引き起こせば、懲戒処分を受けるリスクがある。
タトゥーによるトラブルの具体例
市民からのクレームや、同僚との関係悪化が発生し、その結果、職務に支障が出る場合、戒告処分などを受けることがある。
既にタトゥーがある場合の対処法
公務員としてタトゥーがある場合、見えないように隠すことが最も重要であり、長袖やカバーメイクを活用することが推奨される。
大阪市のタトゥーに関する判例が示すこと
2012年、大阪市が行ったタトゥー調査に対して、回答を拒否した職員に対する戒告処分は、憲法や条例に違反しているとして職員側が争った。
第1審の大阪地方裁判所では、調査が差別につながる情報収集であり違法と判断されたが、2審の大阪高等裁判所では逆転判決が下され、市の戒告処分が適法とされた。
最高裁判所の最終判断では、再び第1審の判決を支持し、大阪市の戒告処分は違法とされ、職員のプライバシーが優先される結果となった。
プライバシーと職場の規律のバランスが争点
この裁判は、職場の風紀を保つための公務員規律と、個人のプライバシー権がどのように調整されるべきかという点が争われた。
判例からの類推
公務員としてのタトゥー問題は、法的な側面だけでなく、個人の自由と職場の規律、さらには日本の文化背景が複雑に絡み合っていることがわかる。
公務員にタトゥーが入っていると、印象が良くないことが分かります。
しかし、それでも
「ファッションとしてタトゥーを楽しみたい!」
「既に入れてしまったけれど公務員を諦めたくない!」
という方は、今は「隠す」の一択です。
現時点ではメリットがあまりなく、試験に落ちる要因だったり、人事評価にプラスにはたらくことはありません。
公務員という職業にこだわるのであれば、対策を徹底していきましょう。
気になる方は、シールやカバーを検討してみてください。