公務員無能説について20年勤めた元公務員がリアルに解説
「公務員は無能な人が多い」
「仕事してないのに偉そう・・」
「変な人ばかりが公務員なの?」
など、公務員に対する不満の声がよく聞かれます。
実際に私も結構耳にする話で、元同僚として聞くたびに心が痛みます。
しかし、そう見えてしまうのには納得の理由があります。
それは、「無能で変な人ほど目立ってしまうから」です。
公務員の無能説について詳しく解説していきます。
私は、公務員として20年間勤め、その間人事評価ではSを取得してきました。
正に公務員業界にどっぷりと浸かっていた私だからこそ伝えられる内容がありますので、ぜひご覧ください。
公務員が無能と言われるリアルな実態
公務員が無能であるというイメージは、社会に根強く存在しています。
このイメージが形成される背景には、様々な要因が絡んでいます。
それらの要因を掘り下げて、無能と言われる公務員の実態とともに解説していきます。
【結論】無能な職員が目立ちがち
公務員は、一般企業とは異なり、業績による報酬や評価が少ないため、能力やモチベーションの低い人々が安定した職場を求めて公務員になるケースがあります。
そのため、中には業務に対する意欲が乏しく、無能と言われるような行動をする職員も一部存在します。
そして・・・悪目立ちしてしまいます。
当然、公務員同士でも無能な人は何となく噂で広まっています・・
中でもちゃんとわかっているということです。
よくある無能と言われてしまう公務員の行動パターンをご紹介します。
「あぁ忙しい・・」と言って全然忙しくない
要するキャパシティが狭いので、少し業務が重なると、いっぱいいっぱいになってしまいその他のことを受け付けられなくなってしまいます。
どの仕事でもそうですが、1つのことだけに集中しておこなえることは珍しいことです。多くの職員は複数同時並行で業務を進めていきますが、無能と言われてしまう職員はそれができません。
「どこが忙しいのだろう・・・?」と周囲は疑問ですが、本人が少なくても1つのことをやり切れるなら黙って見守る形を取らざるを得ません。
知識や理解力が乏しい
仕事ができず、無能とされる公務員は、業務に必要な知識が乏しいことがあります。
また、新たな業務を覚える際にも表面的な理解しかせず、業務の本質や背景を理解していないことがあります。
何事に関しても適当にササっと覚えようとしてしまうので、肝心な部分が抜けていたりするわけですが、これは自分の能力を過信しているということでもあります。
そのため、適切な判断や対応ができなかったり、相手のニーズを正確に把握できないことがあります。
頑固で他者の意見を聞かないが主張は強い
無能とされる公務員の多くは他者の意見を聞かず、自分の意見を押し通そうとします。
例えそれが最適な判断であろうとなかろうと関係はなく、自分自身が満足できるかどうかが重要です。
そしてそういう方に限って間違った主張が多いんですが・・・
自らの考えや方法に固執して、他者の意見や提案を参考としないために、円滑に業務が進まないことが多々あります。
やる気がない
能力の問題で仕事の処理が追い付かないなら分かるんですが、そもそもやる気がない職員も一定数います。
態度からも感じ取れますし、本人がことあるごとに口に出してしまっているケースもあります。
これは、同僚に対しても対外的にも非常にマイナスですが、気持ちを変えられるのは本人次第です。
上司から注意されたところで、大きな改善は見られず扱いに困ってしまいます。
言葉の意図が通じず融通が利かない
公務員の中には、言葉の意図が通じず融通が利かないと感じることがあるでしょう。
・難しい言葉を一方的にしゃべる
・こちらの話を聞いていない
・何度も同じ話が繰り返される
業務上必要な用語や文言は、一般的には馴染みが薄く、その意味や背景を理解するのが難しいですよね、でもそれ以外の例え方が乏しいと、そのまま難しく使われてしまうんです。
その結果、公務員と一般の人々との間にコミュニケーションの壁が生じ、意思疎通が難しくなることがあります。
これが適切な行政サービスにつながらず、住民の方からのクレームとなってしまうことがあります。
無能な職員ばかりではない?
公務員が無能ばかりだとネガティブな意見も多い一方で、実情としては優秀な公務員も多く採用されています。
これは年齢やキャリアに関係なく、公務員業界でも優秀な人は無能な人ほど有名にならないので、外部からはより分かりにくいです。
そもそも公務員という職業には、公共の利益のために尽力し、社会に貢献するという使命感を持つ人々が多く集まっています。
無能と言われる公務員の影で、日々の業務において、高い専門知識やスキルを活かし、的確かつ迅速に業務を遂行している優秀な職員もいます。
無能な職員と優秀な職員がバランスよく配置され絶妙に運営されているのが各部署の実態です。
隠れた優秀な公務員の存在アリ
無能な人ばかりだと思われてしまいがちですが、実は優秀な人もたくさんいます。
優秀な公務員は、仕事に対する責任感が強く、問題解決能力やコミュニケーション能力に優れています。
そして、常に職務を遂行する上での最善の方法を模索し、効率的かつ効果的な業務遂行を心掛けています。
そんな優秀な公務員のサポートが無ければ、無能と言われる公務員がそのまま仕事を続けていくことはかなり困難だと言えます。
住民への行政サービスはどんどん低下し、評価もガタ落ち。
行政組織として真っ当な運営はできなくなってしまうでしょう。
また、優秀な公務員は倫理観や公正さを重視し、法律や規則を遵守する姿勢が見られます。
謙虚な人が多い為あまり目立つことはありませんが、無能ばかりでなく、優秀な人も一定数いるという実態があります。そんな公務員の多様性と努力を認めていきましょう。
公務員に必要な能力は実は多岐にわたっています。優秀な公務員はどれも高いレベルで満たされているため、なかなか貴重な人材です。
ここでは詳細を割愛しますが、別記事では公務員に必要な能力を具体的に解説しています。
無能集団と言われてしまう公務員・・その理由は?
公務員が無能と言われる批判の背景には、様々な理由が存在します。
ただ単に能力の低い職員が集まっているだけということではなく、公務員特有の文化も関係していることを解説させていただきます。
公務員の採用区分も色々ある
まず、公務員といえど、採用にはさまざまな区分が存在します。
一般職
最も一般的な採用区分として、一般職の採用が挙げられます。
一般職とは、広く一般の人々を対象とした採用であり、公務員試験や適性試験を経て採用される場合が多いです。
この区分では、採用試験の難易度や試験科目などが定められており、合格基準を満たした者が採用されます。
専門・技術職
技術職は、特定の技術やスキルを持つ者を対象とした採用であり、その技術やスキルを活かして業務に従事します。
専門職は、特定の専門知識や資格を持つ者を対象とした採用区分であり、その専門知識や資格を活かして業務に従事します。
これらの職種は、一般職とは異なる試験や選考が行われることがあります。
会計年度・臨時的任用職員
会計年度任用職員や臨時的任用職員といった採用区分も存在します。
一定期間のみ雇用される者であり、通常の採用とは異なる契約条件や待遇が適用される場合があります。
特に,大至急で人不足を埋めたいときには、履歴書と簡単な面接のみで採用が決定することもあります。
会計年度・臨時的任用職員は、一般職や技術職、専門職などと同様に、公務員としての役割を果たしますが、雇用期間や契約条件に大きな違いがあり、責任感も変わってきます。
これらの区分は、採用の方法や条件に基づいて設定されており、それぞれ異なる特徴を持っています。
中でも、会計年度任用職員や臨時的任用職員は、一般職によくある筆記試験等の厳格な試験を実施しないケースもあり、結果としてサービスの質も低下してしまう場合があります。
パートタイマーのような感覚で、その場しのぎの投げやりな仕事になってしまうこともあり、ひとりの対応が組織全体の信頼を低下させている場合もあります・・・
公務員の採用にはさまざまな区分がありますが、対応される地域住民は一律に「公務員」として見ています。
その結果として、人材の問題から「無能集団」と揶揄されたり、不満を感じることにつながってしまうこともあります。
融通の利かない公務員文化
公務員独特の文化や業務上のシステムが、無能と言われてしまう原因の一つとなっています。
公務員は近年の一般企業とは異なり、官僚制というルールや規則に縛られた業務遂行を求められます。
これは、秩序を保つために必要な制度ではありますが、とにかく融通が利きません。
そのため、柔軟な対応が必要な場面でスムーズな対応ができないという問題が生じることがあります。
さらに、各事業部ごとに担当を分けていくという完全な縦割りの分業制のため、公務員同士の横のコミュニケーションや情報共有が不十分な場合もあり、これが業務の効率性や質に悪い影響を与えることがあります。
公務員の無能部署は存在する??
まず結論として、公務員の無能部署というのは存在しないよう、人事部で配慮されることが一般的です。
なぜなら、もし無能集団でまとめられた組織があるとすれば、上手く機能せず、行政の運営に支障をきたしてしまうからです。
例えば、仮に人事評価(S~E)を配置の参考にすると
部署1・・・B,B,B,B
部署2・・・A,C,B,B
部署3・・・S,C,D,A
→平均すると「B」になるように配置する。
というようなイメージです。
実際はこんな簡単な話ではありませんが、少なくとも一ヶ所に集中するような組織編制はしていないということです。
人材のバランスをみて、どの部署でも円滑な行政サービスが提供できるよう、考えられた職員編成を行っています。
そもそも、無能というのは定義があいまいで、具体的な根拠がなく、感覚だけで判断するのは難しい表現です。
対応が親切でなかったから無能なのか、書類の発行に時間が掛かったから無能なのか・・いずれにせよ人それぞれの視点によって変わってきます
また、公務員組織における各部署は、法律や政策に基づいて設置され、それぞれに特定の役割と責任があります。
例えば、市民のニーズが担当職員の範囲外の問題にも関わらず、ニーズに応えられないことが無能であるかというと疑問が残ります。
公務員全体としては、効率や成果が期待されてはいますが、組織や個々の職員が常にその役割を十分に果たせるかどうかは別の問題です。
ただし、一部の人々が「無能」と感じる部署や職員が存在すると考える理由には、多くの経験や要因があることは事実です。
このことから、安易に無能部署と判断するよりも、改善が必要な課題が残っている組織だと捉えるべきです。
こういった問題は、組織や人員の再配置、プロセスの見直し、適切な人員や資源の配分などで改善できる可能性があります。
公務員が無能と言われる背景には色々な事情がある【まとめ】
公務員が無能だとか変だとか言われる背景には、様々な事情が複雑に絡み合っているのだお分かりいただけたでしょうか。
最後に、その要因についてまとめてみます。
能力の低い人が特に目立ってしまう
業務に対する意欲が乏しい、あるいは適切なスキルや知識が不足している職員が無能と言われてしまう、そんな人が一定数いるのは事実です。
ですが、その一部がとても目立ってしまうため、公務員全体の評価が下がっていることがあります。
公務員の採用区分も色々ある
公務員の採用には、一般職、技術職、専門職・・など、さまざまな区分が存在します。
それぞれの区分には異なる採用方法や条件があり、それに応じて採用される人材の質や特性も異なる場合があります。
特に、会計年度任用職員や臨時的任用職員と言われる方々は、一般職とは異なる採用方法が用いられるために、十分なパフォーマンスを発揮できないことがあります。
その結果対応に不満を感じてしまう場合もあるでしょう。
融通の利かない公務員文化
公務員の中には、融通の利かない独特な文化やシステムが存在します。
これは、一見すると秩序を保つために必要なことに思えますが、融通が利かないため、柔軟な対応が必要な場面でスムーズな対応ができないという問題が生じることがあります。
さらに、担当ごとに業務を遂行していくシステムのために、公務員同士の横のコミュニケーションや情報共有が不十分な場合もあり、これが業務効率やサービスの質に悪影響を与えることがあります。
このように結果として、無能だと思われてしまう要因がいくつかあるのは否めません。
しかし、優秀な人もたくさんいるのは確かなので、ネガティブ情報のみを切り取って紹介するのはいかがなものかと思い、この記事を書いております。
公務員の内情を理解した上で、誤った情報だけでなく正しい評価をしてもらえると、公務員のモチベーションも上がっていきます。
職員と地域のギブアンドテイクで、相互に良い循環が生まれることを願っています。