公務員は給料は安い?薄給と言われてしまう理由【元公務員が解説します】
「公務員って本当に薄給なの?」
「公務員はずっと年収が低いの?」
「なんで昇給するのに薄給?」
という疑問を抱えていませんか?
そんなあなたの悩みに、公務員として20年働いてきた経験からお伝えします。
結論としては、確かに公務員の給与は若年層ほど仕事量に見合わず、薄給と感じることが多いです。
しかし、職種や部署によって業務量に差がありますし、安定した昇給制度や、充実した福利厚生もあるので、現役の公務員の間でも立場によって意見が分かれるところです。
「安定して貰えるだけありがたい・・」と悟りを開いたかのような考えの人もいます
公務員の収入事情について詳しく解説していきます。
元公務員として様々な職場を渡り歩いて20年。の経験を基に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
公務員の給与は本当に薄給?
給与と仕事量が見合っていないので薄給と感じる
公務員の給与は、「薄給」と感じられることが多いです。
理由の一つに、業務量と給与が見合っていないと感じるケースがあるからです。
総務省の「令和5年度地方公務員給与実態調査結果」によると、地方公務員の平均給与月額は42.1歳で315,159円です。
一方で、業務量に関しては、毎日定時上がりで帰れるのは一部の部署だけであり、実際は残業せざるを得ない部署が多いです。
また、残業代を請求できないサービス残業状態もあるので、全てが報酬につながるわけではありません。
このように、仕事の大変さに対して給与が低く感じられ、「薄給だな・・」と思う場面も少なくありません。
仕事量は部署によって違うので意見が異なる
公務員の給与に対する満足度は、所属部署によって大きく異なります。
例えば、繁忙期のある部署や対外的な交渉を行う部署では、常に多忙で残業が多いケースもあります。
すべては異動で決まってしまうので、同じ人でも時期によって考え方が異なるかもしれません・・
逆に、比較的落ち着いた業務を行う部署では、定時で帰れる日も多く、そのために給与が割に合っていると感じる職員もいるでしょう。
ただし、同じ部署で生涯働き続ける事は、原則としてあり得ないことなので、どこかのタイミングで多忙な日々を送る時が来る可能性があります。
したがって、公務員全体で業務量と照らし合わせて「薄給」だと一概には言えませんが、忙しい部署にいる職員や若手にとっては、特にそう感じられることが多いです。
新人は慣れていない&給与は低めになっている
新規採用の公務員は、仕事に慣れていないこともあり、他の職員と比べて効率的に業務を進めることが難しい場合があります。
それにもかかわらず、責任ある仕事を任されることが多く、結果としてストレスが溜まりやすい状況にあります。
加えて、昇給の仕組みが年功序列に基づいているため、若手の給与は低めに設定されているのが現状です。
最初の数年間は、特に仕事量と給与が見合わないと感じる若手職員が多い傾向にあります。
時給で換算しちゃうと、絶望を感じる数値をたたき出した時がありますね・・バイト以下。
そのため、採用されて3年程度で見切りをつけて退職してしまう人も多く、人材確保が課題になっています。
なぜ薄給と感じられるのか?基本的な給与の仕組みを解説
公務員の年収はどのくらい?平均給与と月額の実態
公務員の年収は、働く年数や階級によって異なりますが、全体の平均以上に高くなることはありません。
これは、日本の経済状況と、中小企業平均給与に沿って調整されているためです。
総務省のデータに基づいて年収にすると、30代後半になれば、おおよそ500万円から600万円程度になります。
しかし、若手職員の場合、月額給与が20万円台前半でスタートするため、特に最初の数年間は実家暮らしでも無ければ、貯金もままならない時期もあります。
結構飲み会とかもあるので、家賃と交際費で飛んで行ったりします。
日本では、年収も500万円代になると「薄給」と言えない層になりますが、若年層の平均年収は300万~400万台。
支出などを考えると、公務員人生の中で金銭的に一番苦労する時期とも言えます。
若手公務員の給与が低く感じられる昇給の仕組み
公務員の給与は、1年ごとの定期昇給が基本です。
一定年数を経験すると役職名が代わり昇進しますが、俸給表が1級→2級というように変わり、このタイミングで昇給の幅が増えることが多いです。
公務員の昇給に関する仕組みについてはコチラで解説しています。
このため、採用されて数年は役職も変わらず、昇給幅がそれほど大きくないため、手取り額に大きな変化が感じられないことも。
学生卒の採用だと、2年目から住民税もガッツリ徴収されるので、増えてる実感はより薄くなってしまうかも・・・
ただし、長期的に見れば昇給額は安定しており、着実に増加していくため、数十年勤務することで安定した収入を得られることが期待できます。
給与が低くてもボーナス(賞与)は安定している?
年間支給率は4ヶ月超と高めだが…
公務員のボーナス(賞与)は、年間支給率が4.4ヶ月分程度と高めに設定されています。
これは国家公務員、地方公務員どちらも、ほぼ同じ基準で支給されることが多いです。
年に2回支給されるため、1回の支給額は給与の2ヶ月分程度となります。
しかし、ベースとなる月額給与は高くはないため、ボーナスもそれに比例して低く感じられることがあります。
時々、ボーナスをものすごいもらっていると思われている方がいますが、案外金額としては伸びないものです。
例えば、月給20万円の職員が4.4ヶ月分のボーナスをもらう場合、年間で約88万円の支給となりますが、これが多いと感じるか少ないと感じるかは、個々の考え方によります。
ボーナスも安定しているが年収を大幅に増やすこと困難
賞与(ボーナス)は毎年安定して支給される点では安心感がありますが、それでも給与の低さを完全に補うわけではありません。
また、公務員は副業にも厳しい制限があり、多くの職員にとって給与に依存せざるを得ない状態です。
決して高くはない年収そのものを、増やす方法が無い為に、民間企業と比べて魅力的に映らないと考える人も多いです。
若年層は薄給と感じるが将来的には安定
公務員を志望する際の考慮点【給与以外にも目を向ける】
公務員を目指す際、給与だけに注目するのではなく、各種手当や休業等の福利厚生も考慮すべきです。
給与にしても、ノルマや能力問わず、年数を重ねるごとに段階的に昇給していくため、将来的にはそこそこの収入で安定した生活が期待できます。
また、課長や部長等の管理職級に昇進にすることで、さらに給与アップも見込めます。
目先の給与だけでなくキャリア全体を見据えて選択することが重要です。
仕事量と給与のバランスに納得できるか?
公務員の仕事量は部署や配属先によって異なるため、給与と仕事量のバランスに納得できるかどうかは個々の判断によります。
忙しい部署に配属されると、給与が仕事量に見合っていないと感じるかもしれませんが、比較的落ち着いた部署ではまぁ悪くないと感じることもあります。
配属先は人事部が決めることですが、楽な部署ばかりであったり、激務部署ばかりと、どちらか一方に偏らないよう配慮はあると思うので、その時々によってバランスが変わるという事を心に留めておきましょう。
福利厚生を考慮すると公務員は魅力的?
公務員の魅力の一つは、充実した福利厚生です。
給与が薄給に感じられる場合でも、福利厚生の恩恵を受けることで生活の安定感が得られます。例えば、健康保険や年金制度が充実しているため、公務員として勤める限り、将来的な不安が少なく、安心して働き続けることができます。
また、公務員には休暇・休業制度が充実しています。
育児休業や短時間勤務、病気休暇、介護休暇、復職制度など、ライフステージに合わせた柔軟な働き方ができる点も大きなメリットです。
一方で、権利としては整っていても、十分に活用できない職員がいるなど、職場環境にはまだまだ課題があります。
公務員のメリットを享受するのであれば、給与だけでなく福利厚生をしっかりと理解し、最大限活用することが大切で、この時に給与以外の恵まれた部分を感じることができると言えます。
若いうちは薄給かもしれない・・【まとめ】
公務員が薄給と言われる事情について解説してきました。まとめると以下の通りです。
· 公務員の給与は本当に薄給なのか?
- 公務員の給与は、仕事量と報酬が見合わず「薄給」と感じることがある。
- 令和5年度の地方公務員給与実態調査によれば、平均月額給与は42.1歳で315,159円。
- しかし、残業やサービス残業があるため、実際には労働量に対して給与が低く感じることが多い。
- 部署によって業務量が異なるため、給与に対する満足度も異なり、特に若手や繁忙部署の職員が薄給を感じやすい。
· なぜ薄給と感じるのか?
- 公務員の年収は年齢や階級によって異なるが、30代後半で500万円から600万円程度となることが多い。
- 一方、若手職員は20万円台前半の給与でスタートするため、最初の数年間は給与が生活費に追いつかず、貯金も難しい。
- 公務員の昇給は年功序列のため、若手職員の給与が低めに設定されている。
- 長期的には昇給が期待できるものの、若手のうちは努力が報われにくく、仕事量と給与が見合わないと感じることが多い。
· 公務員のボーナスは毎年度支給
- 公務員のボーナスは年間4.4ヶ月分と安定しているが、月額給与が低いため、ボーナス額もそれに比例して少なく感じる。
- ボーナスは収入の補助にはなるものの、給与の低さを完全に補うわけではない。
- 公務員は副業が厳しく制限されているため、収入源が限られ、年収を大幅に増やすのは難しい。
· 将来性を考慮した場合の安定性
- 若年層は給与が低く感じるかもしれないが、昇給制度により、長期的には安定した収入を得ることが期待できる。
- 昇進によって給与アップが見込めるため、短期的な視点ではなく、キャリア全体を見据えた判断が重要。
- 忙しい部署では仕事量に対して給与が見合わないと感じるが、落ち着いた部署ではバランスが取れることもある。
· 公務員の福利厚生のメリット
- 公務員は充実した福利厚生があり、給与が薄給に感じられる場合でも、福利厚生によって生活の安定感を得られる。
- 健康保険や年金制度が整備されており、将来的な不安が少ないため、安心して働き続けられる。
- 育児休業や介護休暇、短時間勤務など、ライフステージに応じた柔軟な働き方ができる点も魅力的。
- ただし、権利としての制度がある一方で、職場によってはこれらを十分に活用できない課題もある。
ちなみに私の経験としては、非常に多くの業務をこなしてきたため、どこで何年働いても給与が見合っていると感じたことはありません。
しかし、資産運用は続けてきたため、給与の不満を抑える事ができましたし、働いている間にお金が増えてくれるので、職務に専念することができました。
現在は、そんな資産についての考え方を無料のメール講座で発信していますので、興味があればチェックしてみてくださいね。