公務員のプレゼントや接待は禁止?【受け取ってはいけない理由を元公務員が解説】
「仕事の関係でいただいたプレゼント、受け取っていいのかな?」
「無料なら物をもらっても問題ない?」
「利害関係者じゃない人からならOK?」
「交際相手へのプレゼントって大丈夫?」
このような思いを抱えていませんか?
特に、公務員は法的な制約が多いため、どんな状況でのプレゼントが問題ないのか迷うことも多いですよね。
プレゼントにも制限があるって・・・公務員厳しいッス
結論から言えば、公務員は利害関係者との贈答品のやり取りは禁止されていますが、日常の場面で全てがNGというわけではありません。
特に、直接公務に関わらない友人や交際相手などのプレゼントは、そこまで厳しく制限されてはいません。
この記事では、公務員がプレゼントを受け取る際に気を付けるべきポイントを、しっかり解説していきます。
私自身も贈り物が好きだったので、支障ない範囲でガンガンお渡ししていました
そんな私の20年の公務員経験から、確かな情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
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公務員がプレゼントを受け取ることは禁止?
公務員倫理法で「利害関係者」とのプレゼントは禁止
公務員がプレゼントを受け取ることに関しての基本的なルールは「国家公務員倫理法」に基づいています。
この法律では、「利害関係者からの金銭や物品の贈与を受けること」を厳しく制限しています。
目的は、公務員が公正かつ、国民の信頼を損なわないようにするためです
禁止されているプレゼントや接待の例は次の通りです
- お中元やお歳暮などの季節の贈答品
- 香典や餞別など金銭を含むもの
- 接待、特にゴルフや旅行などの高価なものである場合
これらは「利害関係者」にあたる相手からの贈り物が対象となります。
利害関係者とは、簡単に言えば「仕事上で公務員の決定や判断に影響を与える可能性がある個人や企業」のことです。
1 許認可等の申請をしようとしている者、許認可等の申請をしている者及び許認可等を受けて事業を行っている者
2 補助金等の交付の申請をしようとしている者、補助金等の交付を申請している者及び補助金等の交付を受けている者
3 立入検査、監査又は監察を受ける者
4 不利益処分の名あて人となるべき者
5 行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている者
6 所管する業界において事業を営む企業
7 契約の申込みをしようとしている者、契約の申込みをしている者及び契約を締結して債権・債務関係にある者
8 予算、級別定数又は定員の査定を受ける国の機関
(引用:人事院HP倫理法・倫理規程Q&Aより)
例えば、業務委託を受けている企業や事業主などが分かりやすいですね
法律違反が発覚した場合、懲戒処分を受けることもあります。
公務員としては、このような状況に陥らないためにも、日常からプレゼントや金銭のやり取りに慎重であることが求められます。
利害関係者からのプレゼントとは?
仕事上で利害関係が発生する相手とのやり取り
利害関係者からのプレゼントとは、仕事に関わる人や組織から受け取る贈答品や金銭などを指します。
例えば、業務契約を結んでいる企業や、補助金を管轄する団体と公務員間の贈り物が該当します。
仕事で明確なメリット・デメリットが見えてしまう相手には要注意ですね・・
このような贈り物は、見返りとして公務員の判断や行動に影響を与える恐れがあるため、法律で厳しく規制されています。
特に、業者や住民からお中元やお歳暮、食事や旅行の誘いなどを受けることで、特定の利益を提供する見返りを期待される可能性があり、これは公務員倫理法に違反します。
利害関係者からのプレゼントを受け取るリスク
利害関係者から贈答品や接待を受けてしまうと、違反行為であると見なされた場合に、懲戒処分の対象となります。
また、自身の行動が公務に影響を及ぼすこともあるため、公務員全体の信頼を損なうリスクがあります。
実際にこのような事案が社会に知られると、第三者から不正な行為や便宜供与が行われたのではないかと疑われることもあります。
そのため、公務員は常に透明性を保ち、利害関係者とみなされるような方から一定の距離を保ちつつ、関係性を考慮していくことが重要です。
仕事上のお付き合いとの分別が難しいですが、事情を理解してもらいキッパリと伝えることも重要ですね
利害関係者との線引きと判断基準
プライベートな場面でプレゼントを受け取る際に一番重要なのは、相手が利害関係者であるかどうかを判断することです。
例えば、家族や学生時代からの友人で、仕事とは全く関係のない相手からのプレゼントは基本的に問題ありません。
一方で、相手が仕事上で利害関係がある場合は、たとえ個人的に仲が良くても注意が必要です。
判断基準としては、相手が仕事に関わる人かどうか、プレゼントが公務に影響を与える可能性があるかどうかを考えることが重要です。
また、食事を奢ってもらうなどの行為にも気を付けるようにして、あらかじめ相手方にはその旨を伝えておきましょう。
本人たちにそのつもりがなくても第三者の通報もあるので要注意です
プライベートな場面でのプレゼントの扱いは?
古くからの友人等、私的な関係におけるやりとりは例外として、プレゼントや金銭のやりとりなど認められています。
例えば冠婚葬祭などは多くの知人が集まり、金銭のやり取りが発生する場です。
これについて、倫理規定のQ&Aに以下のように示されています。
Q.国家公務員が結婚披露宴に利害関係者を招待する場合には、倫理監督官に届出をする必要がありますか。利害関係者が行う結婚披露宴に、国家公務員が出席する場合(祝儀や会費を持参するため自己費用負担)はどうですか。
A.いずれの場合も、多数の者が出席する結婚披露宴であれば、自己の飲食に要する費用が1万円を超える場合であっても、倫理監督官に届出をする必要はありません。
Q.国家公務員は、友人から香典をもらうこともできないのですか。
A.友人が、倫理規程で定められている「利害関係者」に該当しない場合には、香典を受け取ることができることはいうまでもありません。 また、その友人が「利害関係者」に該当する場合でも、学生時代からの友人など、国家公務員としての身分にかかわらない関係(私的な関係)があれば、規制の例外として香典を受け取ることは認められています。
(引用:人事院HP倫理法・倫理規程Q&Aより)
ただし、明確な基準ですべてを判断することは難しく、当人達の判断に委ねられるところもありますので、いかなる時も高い倫理観をもって対応してことが必要です。
仲の良い友人との食事やプレゼントはOK?
公務員は、利害関係者以外とのプレゼント等のやり取りは特に制限していませんが、その際も仕事に影響が出ないように注意が必要です。
例えば、仲の良い友人との食事会で奢ったり奢られたりすることは一般的に問題ありません。
しかし、その友人が業務に関連する企業に勤務している場合等は、利害関係が発生する可能性もあるため、慎重に判断する必要があります。
とはいえ、たまたまそうであっても関係性を断ち切ることはできないですよね・・・
そのため、明確にプライベートと仕事を切り離した状態で、あらかじめ相手にも理解を求めておく必要があります。
また、日常的なプレゼントのやり取りも、あくまで個人としての気持ちであることを示しつつ、透明な関係を保つことが大切です。
交際相手とのプレゼント交換はOK?
交際相手とのプレゼントとして公務員が受け取る、もしくは渡すことは基本的に問題ありません。
ただし、交際相手が仕事上で明らかに利害関係者に該当する場合(例えば、行政サービスを利用する企業や関係業の従業員など)、一定の配慮が求められます。
このような場合は、念のためお互いの業務とは切り離したやりとりであり、公務に影響を与えないものであることを確認しておくと良いでしょう。
交際相手とのやり取りは私的な関係になるので、基本的には何の問題にもならないかと・・
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公務員の贈答による実際のケース
実際に公務員の贈答や接待による処分事例があります。
以下の表は、通報によって発覚した事例と処分内容で、人事院が公表しています。
違反行為 | 処分内容 | 違反の概要 | |
1 | 利害関係者である事業者につけ回しをした事案(倫理規程第5条第2項違反) | 停職 1月 | 厚生労働省の施設等機関の職員が、物品購入契約の相手方である事業者(3社)に、合計14回分の飲食費用(192万円相当)を負担させたもの。 |
2 | 利害関係者と夜間に倫理監督官の許可を得ることなく共に飲食をし、及び麻雀をした事案(倫理規程第3条第1項第7号及び第8号違反) | 減給 1月(月額1/10) 戒告 (3人) | 厚生労働省の地方機関の長等幹部職員を含む4人の職員が、許認可、補助金交付等の相手方である団体の職員と、多数回にわたり飲食を共にしながら麻雀をしたもの。 |
3 | 利害関係者から金銭の贈与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号違反) | 戒告 (2人) | 厚生労働省の地方機関の職員が、許認可等、立入検査及び行政指導の相手方である所管法人3団体の役職員合計6人から、せん別金合計5万円を受領したもの。 また、同じ地方機関の別の職員が、許認可等、立入検査及び行政指導の相手方である所管法人の役職員2人から、せん別金合計2万円を受領したもの。 なお、別の職員については、他の国公法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分が行われた。 |
4 | 利害関係者と共に遊技を行った事案(倫理規程第3条第1項第7号違反) | 戒告 (2人) | 厚生労働省の地方支分部局の職員2名が、立入検査・監査又は監察の相手方として利害関係者である事業者と共に、平成17年4月から平成19年3月までの間、月に2回から3回程度、麻雀を行ったもの。 |
5 | 利害関係者から物品の贈与を受け、共に飲食をし、飲食の供応接待を受け、又は利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて飲食の供応接待及び財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号、第6号及び第7号又は第5条第1項違反) | 停職 2月 (2人) 減給2月 (1/10) (4人) 減給1月 (1/10) (3人) 戒告 (4人) | 農林水産省の職員13人が、補助金等の交付の相手方として利害関係者である団体から物品の贈与を受け、共に飲食をし、飲食の接待を受け、又は利害関係者以外の事業者から社会通念上相当と認められる程度を超えて飲食の接待及び財産上の利益の供与を受けたもの。 うち1人は、利害関係者と33回共に飲食をし、うち31回については、その費用の一部又は全部を負担させ、飲食の接待(175,0 00円相当)を受けたほか、3回物品の贈与(19,000円相当)を受け、また、別の1人は、利害関係者と39回共に飲食をし、その費用の一部又は全部を負担させ、飲食の接待(265,000円相当)を受けたほか、2回物品の贈与(12,000円相当)を受けたもの。 (他の職員14人については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、矯正措置が講じられた。) |
6 | 利害関係者から金銭の贈与及び供応接待を受け、並びに利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けた事案(倫理規程第3条第1項第1号及び第6号並びに第5条第1項違反) | 停職 2月 (1人) | 社会保険庁の地方支分部局の職員1人が、許認可、立入検査、監査又は監察、契約等の相手方として利害関係者である複数の事業者からせん別金として現金合計8万円の贈与を受けた上、そのうちの一つの事業者から温泉旅館における供応接待(飲食費5,650円及び宿泊代13,650円)を受けたほか、利害関係者以外の複数の事業者からせん別金として現金合計33,000円を受領するなど社会通念上相当と認められる程度を超えて財産上の利益の供与を受けたもの。 なお、懲戒処分が行われた者については、他の国公法違反行為も併せて懲戒処分が行われた。 (他の職員2人については、行為の態様等を考慮し、懲戒処分は行われず、矯正措置が講じられた。) |
7 | 利害関係者から物品の贈与を受けた事案(倫 理規程第3条第1項第1号違反) | 戒告 (2人) | 国土交通省の地方支分部局の職員2人が、契約の相手方として利害関係者である団体の役職員等からビール券の贈与(1人は計30枚(20,160円相当)、1人は計56枚~68枚(37,632円~45,696円相当))を受けたもの。 |
8 | 利害関係者から飲食の 供応接待を受けた事案(倫理規程第3条第1項第6号違反) | 戒告 (2人) | 国土交通省の職員2人が、許認可等の相手方として利害関係者である団体から飲食の接待(27,132円)を受けたもの。 |
処分内容を見ると、意図的かつ複数回にわたる内容については重い処分になっています。
また、回数以外にも贈答された金額も関係しており、多額であるほど処分が重くなる傾向にあることに注意が必要です。
公務員としてプレゼントを受け取るときの心得
無料でのサービスや特典にも注意
公務員が無料のサービスや特典を受け取る際にも注意が必要です。
たとえば、飲食店で特別に無料サービスを提供されたり、企業からの特典を受け取る場合、それが利害関係者からであれば倫理法に違反する可能性があります。
特に、利害関係者が提供する無料サービスや特典は、公務に対する便宜の見返りとして期待されることもあります。
自らの判断が難しい場合は、上司や関係部署に確認することが重要です。
好意を無下にしないキラーワード「お気持ちだけ」
地方の田舎では、相手に何かを与えることで、自分の気持ちが満たされる方々もいらっしゃいます。
・相手方はどうしても渡したい
・そのような方々からの気持ちを大切にしたい。
・けれどプレゼントは受け取れない。
そんな時には
「お気持ちは十分にいただいておりますので、どうか・・・」
という形で断ると、相手との関係性もギクシャクせずに済みます。
このキラーワードを用いて、コミュニケーションを円滑に進めてみてください。
実費弁償として受け取る金銭は報酬とはみなされない
何かの用務に従事した際に交通費相当として、高額でない報酬をもらう分には問題ありません。
例えば、講演関係で貰う謝礼金にあたるものについても問題ありませんが、これはどちらかというと副業や兼業の規定に関係するものです。
単発であれば、基本的には受け取って問題ありませんが、継続的にこなす場合には許可をもらう必要があります。
公務員の贈答は「利害関係」がポイント【まとめ】
公務員のプレゼントについて解説してきました。まとめると以下の通りです。
- 公務員倫理法とプレゼントの禁止事項
- 公務員がプレゼントを受け取る際の基本ルールは「国家公務員倫理法」に基づく。
- 「利害関係者」からの金銭や物品の贈与を受け取ることは禁止されており、公正さと国民の信頼を守るために設けられたもの。
- 禁止される贈答品や接待には、以下のようなものが含まれる
- お中元やお歳暮
- 香典や餞別
- ゴルフや旅行など高額な接待
- 利害関係者とは、公務員の業務に影響を与える可能性がある個人や企業を指す。
- 利害関係者の具体例
- 許認可申請者や受給者、補助金の申請者、監査対象者、不利益処分を受ける可能性がある人、行政指導の対象者などが利害関係者に該当。
- また、業務委託を受けている企業や事業主も利害関係者に含まれる。
- 利害関係者からのプレゼントのリスク
- 利害関係者からの贈答品や接待は、公務員倫理法に違反する可能性があり、懲戒処分の対象。
- 信頼を失うリスクもあり、贈り物が社会に知られると、不正や便宜供与が疑われることもあるため、プレゼントを受け取らないことが推奨される。
- 利害関係者との線引き
- プレゼントを受け取る際は、相手が利害関係者であるかどうかを確認することが重要。
- 家族や友人からの贈り物は問題ないが、仕事に関連する相手からの贈り物は注意が必要。
- 利害関係者でない場合でも、第三者からの通報があるため、注意が必要。
- プライベートな場面でのプレゼント
- 公務員は、利害関係者でない場合、プレゼントや食事会などを受け取ることは一般的に問題ない。
- ただし、交際相手が仕事上の利害関係者である場合は注意が必要。
- 利害関係者であっても古くからの友人等私的な関係であれば問題ない。
- 交際相手とのプレゼントのやり取り
- 交際相手からのプレゼントは基本的に問題ありませんが、相手が直接利害関係者に該当する場合は、念のため、公務に影響を与えないことを確認。
- 明確な答えはないため、常に高い倫理観で判断することが求められる
- 贈答による懲戒処分の事例
- 人事院が公開している処分事例では、意図的で複数回にわたる贈答行為は重い処分が科される。
- 贈答の回数や金額も処分の重さに影響し、多額であれば処分は厳しくなる傾向。
- 無料サービスや特典の注意点
- 公務員が無料サービスや特典を受け取る際も注意が必要。
- 特に、利害関係者からの無料サービスは、公務に対する見返りを期待される場合があり、倫理法に違反する。
- 判断が難しい場合は、上司や関係部署に相談すること。
- 贈り物を断る際の対応
- 地方では、贈り物を渡したいという気持ちを持つ方々も多くいるが、プレゼントを受け取れない場合には「お気持ちだけ」と丁重に断る方法が有効。これにより、相手との関係を保ちつつ公務員としての規律も守れる。
- 講演当の謝礼や実費弁償も受け取ってOK
一見するととても厳しそうに感じますが、常識の範囲内でやりとりしていれば特に問題はありません。
公務員の友人同士やパートナーへのプレゼントについても認められていますので、意識し過ぎずに相手が喜ぶ贈り物を選定してください。
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