公務員は2年で異動も普通です【勤続20年超の元公務員が解説】

公務員の異動は、組織の運営や人材配置の最適化を図る重要な制度です。
あなたはもう既に異動を経験しましたか?
「異動の仕組みってそもそも何だろう?」
「2年で異動することもあり得るの?」
「異動に特殊な事情は存在するの?」
など、異動に関して感じたことはありませんか?
また、異動することに抵抗があったり、理不尽ではないかと感じる人もいますよね。

実際に私も異動するたびに苦労しており、中にはなぜこんなタイミングなのかと疑問を持つこともありました
実はそれらに対する悩みは、シンプルに解決できます。
それは異動の仕組みを知り、苦労が無いように自分自身が備えておくということです。
簡単に結論を述べると、異動は組織の活性化の為に行われ、2年で異動もあります。
一方で、5~6年と長い場合もあり、結局最後は上層部の都合で決まったりします。
このように、とにかく予期できないことが起こるのが人事異動。

それが公務員という組織だということを心得ておく必要があるんですね。

人事の事情に触れてきた私のリアルな情報をお届けします。
これを読んで少しでも異動のストレスを軽減し、充実した公務員LIFEを送ってください。
公務員の人事異動の仕組み

まずは、公務員の異動に関する概要を解説していきます。
人事異動の目的を理解して、新たな業務を経験する機会と捉えていきましょう。
公務員異動の概要と目的
公務員の異動は無くてはならないものとされています。
なぜなら、組織運営や人材の配置などを最適化するために行われる重要な制度に位置付けられているからです。
つまり、異動の主な目的は
「組織内の人材を適切なポジションに配置し、公務員のスキルや経験を最大限に生かすこと」
にあります。

一般的なサイクルとして公務員は大体4月から翌年3月を1年として、異動が行われます。
中には「ずっと同じ部署で仕事をしていたい」と言う方もいます。
しかし、異動は組織に属している以上、避けられないもの。

ずっと同じところには居られないんですね・・
組織が各個人の能力や専門知識を適切に評価し、適切なポジションへの配置を行う。
これによって、公共サービスの向上と、組織力の強化を図っています。
異動のタイミングと条件
公務員の異動には、特定のタイミングや条件が設けられています。
なぜなら、そのように異動に関するルールが設けられているためです。
具体的に異動のタイミングは、公務員として採用、配置されて一定期間が経過した後に、行われることが多いです。
組織や職種によって異なりますが、多くの場合は2年~数年ごとに異動が実施されます。
異動の条件には
・実績
・能力
・経験年数
・役職
などが考慮されます。
なお、公務員として過去の業績や能力評価が高い場合、異動と同時に昇進となる場合もあります。
→公務員の人事評価は「B」ばかり。「S」を狙うには?【S評価元公務員が解説】
また、異動には組織の人員配置や職員の希望に応じた配置が行われます。
ですが、異動希望が必ずしも全ての公務員に適用されるわけではありません。
特に昇進等の事情がなければ、所属年数が長い人から異動の対象になることが一般的です。
・数年単位(2~5年程度)
・昇進時
・古株から去っていく
公務員2年で異動はあり得る?おかしい?
結論、公務員の2年異動は事例として割とあります。
なぜなら、実際1年で配置換えになっている人もいるためです。

さすがに「早っ!」って印象は否めないですけど・・
ただし、2年以内での異動は背景になにかしらの事情が絡むことも多いです。
例えば
・昇進を見据えている場合
・組織改編で、新しい部署に引き継いでもらいたい人物を置きたい場合
・業績の問題で現担当として不適であると判断される場合
・メンタルヘルス上、当該部署での勤務がふさわしくないと判断される場合

2年での異動自体はあり得ますが、一般職同士で5年目の人がいるにもかかわらず、2年目の人が先に異動するのはそこまで多くはないです。

もし、5年目より2年目が先に異動するとなると、背景に何か事情があるかもしれませんね。
いずれにせよ、人事異動については予期せぬことも多く、こちらで把握できないこともあることを心得ておきましょう。
一方で、あまりにも短期間であちこちに異動させることは組織としても推奨していません。
そのため、3年~5年での異動を目安として配置することが多いです。
例外としては、管理職の異動があります。
課長や部長級の管理職になると、より間隔が短くなり1~3年程度が目安になります。
あなたの異動があまりにも短い場合には、結論「組織の都合による」ということで、異動を前向き受け入れ、あまり深く考えすぎないことも大事です。
部署を2年で異動する為には? 【早く異動したい場合】
2年で異動は比較的特殊な事情が多いですが、あまりにも着任した部署がイヤだったり、自身の生活環境の問題で異動したい場合もあります。
2年、あるいはなるべく短い期間で次の異動となるにはどうすれば良いでしょうか。
まずは、人事に関わる課長や部長級の管理職との相談です。
なぜ、短期で異動したいのか、異動時期が来る前にあらかじめ真っ当な理由を話しておきましょう。
例えば以下のような理由になります。
・同僚の協力が得られず業務遂行が困難である。
・最近体調が芳しくない。
・身内の面倒を見る都合で現部署は通勤不便である

もちろん虚偽はいけませんし、これだけで異動理由になるとは限りません。
しかし、翌年度の人事業務は年度後半から始まりますので、その時期に急に申し立てても希望が通らないこともあります。
また、自治体の判断もそれぞれですが、基本的には長く同じ場所で勤務していた人を中心に配置換えを考えるでしょう。
その為、繰り返し自身の事情をやんわりと伝えて、少しでも短期で異動できる可能性を上げる努力をしてください。
・なぜ短期の異動を希望するのか
・異動せざるを得ない事情
上記のような、自分の中で根拠となるもの、一貫した理由を整えておきましょう。
異動の種類や範囲【出向もあります】
公務員の異動には、さまざまな種類と範囲が存在します。
異動の種類としては
・部署内異動
・支所異動
・県庁等出向異動
・その他派遣
などが挙げられます。

また民間企業との交流がある自治体は、企業への異動もあります。
いずれにせよ、これらの異動は、公務員の業務内容やキャリア目標に応じて実施されます。
なお、異動の経歴は残りますので、プラス評価になる部署(花形部署)も中にはあります。
また、これ以外にも組合専従(組合の業務に専念する)などのパターンもあり、一時的に休職して組合へ派遣されるような異動もあります。
→【公務員の労働組合を抜けたい!】方法やメリット・デメリットを元公務員が詳しく解説
公務員として2年で異動した時のメリットとデメリット

異動は組織の活性化に効果的ですが、あまりに短期的な異動はデメリットもあります。
具体的に以下に解説していきます。
短期異動のメリット
異動によるキャリアアップの可能性(昇進)
公務員の異動には、キャリアアップの可能性が広がるメリットがあります。
なぜなら新たな職務やプロジェクトに携わることができ、経歴+多様な経験を積むことができるからです。

実際に、短期間で異動を繰り返す人の中には、昇進が早い人も時折見かけます
また、組織全体の視野を広げ、新たな目標をより明確に定めることができます。
新たな職務に挑戦することで、公務員としての適性やスキル・能力が向上し、将来的な昇進やリーダーシップを発揮するポジションへの道が拓かれる可能性が高まります。
新たな経験とスキルの獲得
公務員の異動は、異なる部署での勤務により、新たな経験とスキルを獲得するチャンスがあります。

異動によって公務員は、全く異なる業務に携わります。
そのため、行政の業務として、幅広い専門知識やスキルを磨くことができます。
これにより、公務員としてより多角的な視点で業務に取り組むことができるだけでなく、組織内での柔軟性や適応力も向上します。

やはり多くの世界の景色を見なければ多様な考えを受け入れることができず、リーダーシップを発揮することは困難です
異動によって得た新たな経験は、公務員のキャリアにおいて大きな価値を持ちます。
短期異動のデメリット
慣れない業務に対するミスと効率性の低下
異動直後は処理に時間が掛かり、効率も低下します。
なぜなら、慣れない業務や経験の蓄積が無いからです。
これは、認知負荷が高まり、情報処理に時間がかかるためと考えられます。
たとえば、新しいソフトウェアを学ぶ際には、操作手順や機能の理解に労力を要し、誤った操作をしてしまいそうなイメージがありませんか?
初めての業務では新しい情報に対する注意が必要であり、自分なりに試行錯誤します。
そのため、慣れるまでは効率性を追求することはできません。

これは、異動する度に生まれてしまうもの。
ある程度は残業の覚悟が必要かも・・
しかし、これらは時間とともに経験によって解決される問題です。

異動当初は能力の問題だけでなく、環境の適応に対する問題もあるので、落ち込まずにじっくりと取り組みましょう
また、異動間隔が短いと、その都度この経験をしなければなりません。
新しい業務に対し時間を掛けて知識と経験を積み、ミスを最小限に抑えていく必要があります。
異動先が自分に合わないことがある
異動は新しい職場環境への適応と不慣れな業務処理に追われます。
この際
・同僚との関係
・職場環境
・取り組む業務
これらが自分にとって、合わない可能性もあります。
その際、非常に強いストレスを感じてしまうこともあり得ます。
また

前の部署は良かったけど、今回はどうもダメだな・・
などということが短期で繰り返されると、継続してそのストレスが掛かります。

ただ、これは異動してみないと分からないガチャ要素です
1年経てば改善される可能性もありますが、ある程度起こりうる事態を想定して異動に臨む必要があります。
【メリット】
・キャリアアップ(昇進)の可能性
・新たな経験とスキルの獲得
【デメリット】
・慣れない業務によるミスと非効率性
・異動先の環境が合わないとツラい
公務員の異動はおかしい?【平均や動向を探る】

あまりにも短期で異動になると、自分に不当な人事異動だと感じてしまうことも。
そこで、過去の統計から得られる異動の状況を解説していきます。
公務員の平均異動期間は2年から4年程度
公務員の異動に関する統計データによると、一般的には2~4年ごとに異動が行われる傾向があります。
※平均異動期間は組織や職種によって異なります
一般職の異動は、2~4年サイクルで実施されており、いろいろな部署を経験できるようになっています。
(引用:徳島県HPより)
実際にこれまで私が見てきた平均でも、公務員の異動期間は3年から5年程度でした。

最長で10年以上の人もいましたが、それは特例的な配慮であったとの事。
これは、人事異動の目的やルールに沿ってみると妥当な期間です。
なぜなら
・異動スパンが短すぎる
→部署内でのスキルや経験の獲得が不十分になる可能性あり。
・同じ部署が長すぎる
→職員の資質向上を妨げ、組織内での動きが鈍化する懸念がある。

異動期間のバランスは大事なんですね・・
つまり、異動期間が適切に設定されることで、公務員の成長を促進し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献する仕組みになっています。
異動の要因に関する統計データ
異動に関する統計データからは、異動の傾向や要因についても多くの情報が得られます。
過去の傾向によれば、異動は主に以下のような要因によって実施されることが示されています。
人材配置の最適化
組織が公務員の能力や、経験を適切なポジションに配置するために異動が行われます。
特定の部署や地域での人員過剰や不足が見られる場合、異動によって人材の均等な配置が図られます。
職務の多様化
公務員にはさまざまな職務があり、異動によって新たな業務に挑戦する機会が提供されます。
公務員が異なる職務経験を積むことで、組織全体の柔軟性や適応力が向上するとされています。
地域のニーズに対応
公務員の異動は地域のニーズに合わせて実施されることもあります。
地域の人口動態や社会的な課題に応じて、公務員の配置が見直されることで地域のサービス向上が図られます。
異動の要因は多岐にわたり、組織の戦略や目標に応じて異なる場合があります。
統計データを通じて異動の傾向と要因を把握することで、公務員の異動制度の改善や適切な異動の実施に役立てることができるでしょう。
【実際にあった】短期異動の体験談

私の経験に基づく公務員の異動に関するエピソードをお伝えします。
ある日、異動して間もなく組織改編に伴う部署間統合の話が持ち上がり、私も2年後に統合先への異動対象となりました。
異動先ではまた新たな環境での業務が予想されたので、正直気が重かったですが、どうやら、私のそもそもの異動は、その組織統合も見据えた配置のようでした。
内示が出た後は、現在の職場に順応しながら、新しい異動先に備えて業務内容やシステムに慣れる必要があったために、非常に多くの時間を費やしました。

当時は働き方改革という言葉もなく、月の時間外労働(無償)もなかなかでした・・。
その過程でやはり慣れない業務分野においては、効率性が低下することもありました。
しかし、何とか周囲の協力を取り付けながら乗り越えることができました。
ところが、その後2年経過するも一向に異動の話が進まず、2年後と言われていた話がどんどん延びて、結局私が新部署に異動したのは、話が挙がってから5年後となりました。
「上の都合はコロコロ変わるもんだな・・」
と当時は感じていたものです。

私たちは組織の一員であり、政治的なものにも影響されながら勤務していくんですよね。それを心に留めておく必要性をこの時感じました
しかし、この異動の経験を通じて
・自分の都合通りにはいかないこと
・新たな職場での挑戦
・乗り越えることでの成長
を実感しました。
結果的に苦労した分、この異動により得たものも大きかったように思います。
色々とドタバタ大変ではありましたが、異動は適材適所を実現し、組織の活性化に大いに寄与する重要な機会であると改めて感じました。
公務員の異動は基本大変【大事にしてほしい3点】

自分の体験もお伝えしたように、どのようなタイミングであれ、異動は大変です。
なぜなら、どうあっても最初は覚えることから始まるからです。
そこで異動が絡む場合において、個人的に大切にしてほしい部分を3つだけ紹介します。
コミュニケーションスキルを高めておく
コミュニケーションが円滑に進めばどのような場面でも、自分の働きやすい環境をつくることができます。
基本であり突き詰めれば社会人最強のスキルだと思っています。

私自身もいろいろと学びに時間を費やしてきましたが・・コミュニケーションスキルが手っ取り早く現場に生かせる力だと気づきました。
特に異動したばかりの頃は、新しい部署の雰囲気や同僚の性格や個性がよくわからず、なかなか自分のペースで働くことができません。
しかし、コミュニケーションスキルを向上させることは、それらの課題を解消してくれる有効な手段です。

コミュニケーションが得意な人は、仕事をスイスイこなしているように見えますよね
あっという間に懐に入り、協働してもらうことで負担量を平準化していくことができます。
言葉で示すと、基本かつ簡単に見えるスキルですが、実は学ぶと奥が深いスキルです。
日頃から高める努力をしておくと、あなたの異動の負担を軽くしてくれることでしょう。

体系的に学び力を底上げして、異動時の負担を軽減していきましょう。
睡眠をしっかりとって体調を整える
異動は慣れない環境と業務で結構疲れます。
さらに、疲れてくると単純にイライラしてきて、人に優しくすることができなくなります。
結果として、ギスギスした雰囲気を自分自身で作り出してしまうことになります。

それを防ぐためには、自分で自分のケアをしていくしかありません。
そこで、特に大事なのは「睡眠」です。
なぜなら、イライラのもととなる疲労の80%は睡眠で解決するからです。
とはいえ異動直後は忙しく、満足に時間をとれないことが考えられます。
そこで「睡眠の質」にこだわります。
というのも、人間は1日の1/4~1/3を睡眠に費やしていますが、それほど長い時間を過ごす環境にお金を掛けないのは正直もったいないです。

コンビニでご飯を買っている余裕があるなら、寝具変えてほしい・・
睡眠を見直し、常に良い体調をキープすることで周囲にも優しくなれますし、何より高いパフォーマンスを発揮できます。
正確でクオリティの高い仕事をすることで、周りの評価も徐々に上がっていきます。
つまり、費用対効果抜群の消費行動ということです。
特に手軽で簡単に睡眠を変えられる「枕」をオススメしています。

睡眠を侮らず、常に質を向上させることを心がけて、自分の機嫌を自分でとっていきましょう!
服装は整えて良い印象をあたえる
第一印象は、異動先での人間関係を左右する重要な要素です。
特に公務員の職場は、民間企業に比べて「清潔感」や「身だしなみ」への評価が根強く残っています。
異動初日はもちろん、慣れるまでは少しフォーマル寄りの服装を心がけるのが無難です。
たとえば
- シャツやブラウスはシワやヘタりに注意する
- スーツやジャケットはシンプルかつ清潔感のあるものを選ぶ
- 派手すぎるアクセサリーやネイルは避ける
この基本を守るだけでも、周囲に安心感を与えることができます。

服装なんて関係ないのでは?
と思うかもしれませんが、職場の人はあなたのことを“仕事ぶり”より先に“見た目”で判断するもの。
だからこそ、異動という“初対面”の場面では、身だしなみに気を配ることが大きな意味を持つことを覚えておきましょう。

公務員の異動年数は上層部の意図で結局決まる【まとめ】

公務員の異動について解説してきました。まとめると以下の通りです。
- 公務員の異動は組織運営と人材配置の最適化を目指す重要な制度。
- 適材適所を実現し組織全体の効率性と業務質の向上を図ることが目的。
- 異動は公務員のスキルや経験を最大限に生かすための手段。
- 適切なポジションへの配置が公共サービスの向上と組織の強化につながる。
- 異動のタイミングは一般的に3月の年度末。
- 採用後の数年ごとに行われ、公務員の実績や能力、業務経験が異動条件として考慮される。
- 2年で異動することも充分あり得る。あまりにも短い異動は何かしらの事情が絡んでいることも多い。
- 2年で異動したい場合には特殊事情を考慮した人事になるよう要相談。
- 短期の異動には、キャリアアップの可能性や新たな経験とスキルの獲得などのメリットがある。
- デメリットとして、慣れない業務におけるミスと効率性の課題もある。
- 初期段階ではミスが増加し、効率性が低下するが、時間とともに適応が進み、ミスが減少。
- 異動に関する統計データからは、公務員の平均異動期間が約2〜4年。
公務員組織の上層部には様々な意図があり、我々はその事情に基づいて異動しています。
イチ職員として備えていくことは、「コミュ力」と「体調維持」と「見た目」。

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備えておくと違うポイント3つ
・新たな職場でゼロから即良好な関係を構築できる
→【公務員最強スキル】コミュニケーションスキルを学ばない理由がない圧倒的事実
・常に体調を維持して抜群のパフォーマンスを上げる
・見た目でトクする
これらの内容を理解した上で、短期であれ長期であれ、異動は必然であることを理解し、今後のあなたの働き方やキャリアの参考にしてもらえれば幸いです。