なぜ公務員はうつ病に?心の健康について勤続20年公務員が語る
「公務員はうつ病になりやすいの?」
「なぜ公務員はうつ病になってしまうの?」
「公務員としてうつ病対策は何がある?」
など、思ったことはありませんか?
実際に本文でも紹介しますが、私も心身の不調が出たことがあります。
ですが、それを自分なりに客観的に把握し、対策をすることで乗り切ることが出来ました。
また、公務員の仕事は、公共の福祉を考えた行政サービスであり、その責任とストレスは常に大きなものです。
業務のプレッシャーや政策変更によるストレスが健全だった心身に影響を及ぼす可能性も充分にあります。
結論として、「公務員がうつ病になってしまう割合は全体の約1%程度とあるように、決して楽な仕事ではなく誰にでもなりえる可能性がある。」ということです。
また、うつ病の原因や対策は人それぞれで、何よりも大事なのは兆候の早期察知です。
私は地方公務員として20年間勤めあげ、色々な人と仕事を共にしてきました。
激務と言われる部署に勤務していたこともあり、多少なりとも業務量はこなしてきた自負があります。
そんな私だから語れる内容をお伝えしていきます!
この記事からわかること
この記事を読むことのメリット
自己の健康を守るための手段を理解し、充実した公務員LIFEを送っていきましょう。
公務員のうつ病の可能性と予防策
公務員がうつ病になってしまう要因と予防策について解説します。
うつの原因は主に「過剰なストレス」と「疲労」によるもので、それをいかに管理できるかがカギになります。
公務員の現実に潜むうつ病のリスク
公務員の仕事は公共の福祉を考えた行政サービスです。
その為、常に信頼性、責任感、ストレスが伴います。
公務員業界内での統計では主にうつが原因のメンタル休職者は
国家公務員=1%強
地方公務員=1%弱
となっています。
また、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会による令和2年度の調査によると
「精神及び行動の障害」による長期病休者数(10万人率)は、1,713.3人。
令和元年度より69.4人(4.22%)増加しており、10年前の約1.5倍、15年前の 約2.1倍。
「精神及び行動の障害」の長期病休者全体に占める割合は、61.3%であり、 引き続き増加している。
年々増え続けていることがわかります・・・
また、その他の統計からも、公務員は業務上のプレッシャーや政策変更への対応が求められ、超過勤務に伴う心身疲労により、うつ病のリスクが増加することが示されています。
心理学的法則の中では、「役割の不整合」がうつ病のリスク要因とされ、個人の価値観や能力と役割の期待が一致しない場合、ストレスが蓄積しやすくなるとされています。
理想と現実の違いですね。
こんなはずじゃないという思い込みで、わずか1,2年で退職してしまう人も結構います
このように公務員は様々なプレッシャーにさらされることで、心の健康に影響を受ける可能性が高いと言えます。
あなたは大丈夫?うつ病の兆候と早期発見の重要性
うつ病の兆候は多岐にわたりますが以下が一般的な症状です。
・感情的な症状(無気力感や希望喪失)
・身体的な症状(不眠や食欲変動)
・認知的な症状(集中力の低下、自己評価の低下)
これらの症状が長期間続く場合、うつ病の可能性が高まるとされています。
また、うつ病も他の病気同様、早期発見が重要です。
自分自身が異変を感じた時にすぐに医療機関へ受診できるかどうかで、先々のライフプランに大きく関わってくるでしょう。症状が進行する前に適切な治療を行ってください。
うつ病の予防策は「ストレス管理」と「心のケア」
公務員の心の健康を保つためには、ストレス管理と心のケアが重要です。
長い間言われてきたことですが、ストレス対策として
運動(散歩もアリ)
趣味の充実
リラクゼーション(睡眠、マッサージ)
これらが有効であり、結果的にうつ病の予防に寄与することが示されています。
しかし、どれもこれも自分の時間が無ければ叶いません。
その為にも仕事とプライベートのメリハリは大事です。
帰れる時には思い切って「諦めて」帰る。コレは私も実践していた内容です。
どうにもならないことなのに、体裁を整えようとする。そこに労力を注ぐことを諦めたって感じです。公務員てそういう所ありますよね。
また、心理学の中で自己効力感という概念があり、ビジネスでも注目されています。
自己の能力を信じ、積極的に物事にチャレンジして成功体験を積んでいくことがストレスへの対処に役立つとされています。
公務員特有のストレスに対して、自分なりの対策やケアを通じて、うつ病のリスクを軽減することは可能です。
公務員が知るべきメンタルヘルスの早期対応とサポート
公務員として知っておくべきストレスの掛かりやすい場面とサポートについて解説していきます。あなたの周りの環境はどうでしょうか?
環境の変化は要注意【自己評価とストレスチェックの重要性】
公務員として業務や環境は異動や担当替えによって、変化することがあります。
行政機関でも激務部署が存在するため、業務量が増大すると自分自身が少しずつ削られていくこともあります。
別記事では公務員の激務について解説しています。
過去の研究でも、環境の変化や責任の増加はストレスやメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性があることが示されています。
異動、就職、昇進などがあった際は要注意
特に4月からの3ヶ月間程度は自身の状態をよく観察してみましょう。
・何だかイライラしたり不安感がある
・疲れやすい、意欲がわかない
・肩こり、頭痛、めまいが以前より頻繁に起こる
・眠りが浅い気がする
これらは「適応障害」と言われている症状にあるものです。
思い当たる際は、医療機関を受診しても良いかもしれません。
こういった症状が進行していくと、うつ病につながります
また、自己評価とストレスチェックは、公務員が自身のメンタルヘルス状態を把握するための重要な手段です。
自己評価を通じて自分のストレスレベルや気分を客観的に見つめることができ、早期のサインを察知する手助けとなります。
なお、厚生労働省は2016年からストレスチェックを義務化させました。
これに伴い公務員は年に1回以上ストレスチェックが行われています。
これは、省庁勤務、学校の教職員、警察、消防、県職員、市職員・・問わず公務員であれば実施しているはずです。
早期発見の一環として、メンタルヘルスの問題を特定する上で役立つツールなので、忙しいからと適当に回答することのないよう自分の正直が今の気持ちを示してください
同僚や上司へ相談できる環境づくり
公務員は職場で同僚や上司と連携をとりながら、部署単位で業務を進めています。
職場のコミュニケーションがメンタルヘルスに影響を与えることが報告されています。
つまり、
・互いに信頼できる関係を持つ。
・なんでも気兼ねなく話せる関係性を構築する。
これがストレスへの対処に役立ちます。
オープンなコミュニケーションを通じて同僚や上司にメンタルヘルスの問題を相談することは、早期対応の重要な一環です。
同僚や上司があなたのつらさを理解し支援してくれることで、ストレスや困難に対処しやすくなります。
持ちつ持たれつなので、調子が悪い時はサポートしてもらい、元気な時は他の人をサポートしてあげれば良いのです
とはいえ、自分の思いを我慢してしまったり、周囲へ気を使いすぎてしまうなど、そうなかなか上手にコミュニケーションがとれない人もいるでしょう。
そんな方のために別記事では、コミュニケーションの重要性や学び方について解説しています。
専門家によるカウンセリングや治療のサポート
公務員がメンタルヘルスの問題を抱えた場合、臨床心理士や精神科医等専門家のサポートを求めましょう。
一部の自治体では、無料で電話や対面でのカウンセリングサポートをしてくれますので、共済組合や互助会などの福利厚生の内容を確認してみてください。
カウンセリングは基本当事者間での秘密。専門家に依頼することは決して恥ずかしいことではありません。
むしろ早期に適切な治療を受ける手段として最適なものです。
とはいえ
「いやいや、自分はそんなヤワな人間じゃない」
などという思い込みはありませんか?
世の中自分一人の力では解決できないことも沢山あります。むしろ改善に向けた最短ルートとも言えます。
専門家の知識や指導を受けることで、うつ病を含めたメンタルヘルスの問題に適切に向き合い克服する道があることも覚えておきましょう。
【うつ病かも?】私が感じた心身の異変と対策
私も20年間勤めてきた中で、心身に異常を感じた時がありました。
振り返ってみると根本の原因は「働きすぎによる疲労と休養不足」だったように思います。
しかし、その中で自分なりに試行錯誤して改善に至ったことがありますので、経験談としてご紹介いたします。
感じた異変の内容と当時の状況
その時の自分の状況としては、報告物~業務調整まで背負っている業務も多く、何とか時間を掛けてさばいている状況でした。
どんなに効率を意識しても、とにかく時間を掛けなければ間に合わない。
特に、月の超過勤務時間が100時間を超えたあたりから異変を感じていました。
しかし、適当な成果をあげるのも納得がいかず、ひとつひとつのクオリティをある程度追求していました。
それがさらに自分を苦しくしていたように思います
ある時から自分の体調が変化しているのが明らかに分かるようになりました。
具体的な症状としては
・慢性的に疲弊しているのに眠りが浅い、眠れない
・気持ちが悪く食欲が起きない
・そわそわした謎の不安感
・発疹ができる
・人と接するのが億劫になる
日によって波はありますが、全体的に調子が上がらない。そんな状態が1年程度続いていました。
体調改善のために取り組んだこと
「これは、心身の異常事態だ。このままではヤバいかもしれない」
素直にそう感じることができた私は、改善を試みました。
具体的に行ったことは以下の3点です。
仕事のクオリティを追求しない
公務員の業務はクオリティを追求しようとするとキリがない部分があります。
なぜ?どのように?いつから?とか報告の精度を高めようとすればキリがないですし、サービスの質を向上しようとすればどこまででも追求できます。
それを「今自分ができる所まで」と目途を付けました。
こうすることで、必要充分なところまでで次のタスクに移行することができ、余剰時間を捻出しました。
特に最初の頃は自分自身を「抑える」ことを意識していましたね
睡眠環境改善と栄養に係る質の向上
心身の疲労を改善していく中で、睡眠と適切な栄養摂取が最重要項目と捉えました。
まず、睡眠に関しては、日頃の眠りを少しでも深く、短時間でも心身の効果的な回復が見込めるように、枕やマットレスなど寝具を交換しました。
そして、シャワーではなく時間を掛けてあえて入浴をすることで血行促進を図り、疲れを解消するようにしました。
また、定期的な運動として週1回以上の筋トレを行い、時間が取れない時も20分程度の散歩を行うようにして、睡眠のための適度な刺激を与えるようにしました。
散歩や筋トレに関しては、幸せホルモンの増加が促され、心の安定にもつながるとされています。
次に、食事に関しては、栄養素のバランスを意識しました。
まず、手頃で安価なカップラーメン等のインスタント食品の摂取を控えました。
そして、マルチビタミン類のサプリメントを摂取し、青汁なども摂るようにしました。
また、カフェインも覚醒と集中作用があるということで、コーヒーなどから定期的に摂取していましたが、過剰摂取しないように抑えました。
特に、カフェインは体内に6時間程度蓄積するという話もあったので、14時以降は夜の眠りを浅くしてしまわないように、飲むことを控えることにしました。
あくまで自分のやり方です。この方法で100%改善されるものではないと感じていましたが、要因となるものを少しでもクリアにしていこうと努めた結果のことです。
仕事の優先順位を見直す
私は業務で困っている人がいた時にそちらを優先して解決しようとしていました。
しかしそれによって自分の仕事の進度が遅くなり、超過勤務につながっていました。
その場面毎では良いかもしれませんが、長い目で見ると
超過勤務→体調不良→パフォーマンス落ちる
ということになってしまいます。
それを改善する為に、「まず自分の仕事の目途を付ける。その後に他の人の仕事を手伝う」ことにしました。
このように自分自身の優先順位を上げることで、超過勤務の縮減を図りました。
「他人を助けるにはまずは自分から」の精神ですね。
改善に向けた取り組みの結果
数ヶ月間、継続的に自分自身のライフスタイルを見直した結果、徐々にですが調子が上向いてきたように思います。
この時感じたことは、一度調子が悪いと感じてから、良くなるまでには長い時間が掛かったということです。
次の日に劇的に改善するということはありませんでしたね
日頃時間が取れない中でも、長期的に継続して改善を試みないと、私には効果が表れなかったようです。
自分なりに改善に向けて踏み出そうと考えている方は、ぜひ長期的に実践してもらいたいと思います。
また、私は比較的メンタルが強いと言われてきましたが、今思うと瀬戸際に立っていたのかもしれません。
自分では大丈夫と思っている方も同じようなケースを感じたら、一度立ち止まって自分自身に異変がないか確認してみてはいかがでしょうか。
公務員のうつ病克服にはどうしたらいい?【復帰への道のり】
医療機関でうつ病という診断が出ても、まずは自身の状態を把握し、改善に向けて着々と踏み出していきましょう。
幸いにも、公務員は支援体制が充実しているので、すぐに退職を考える必要はありません。
うつ病と向き合い専門家のサポートを受ける
うつ病を克服するためには、まず自分自身と向き合う勇気が求められます。
「まさか自分がそうなっているはずがない」という思い込みも捨てましょう。
うつ病は、誰にでも起こりうるものであり、その克服には専門家のアドバイスを受けることが大切です。
専門家によるうつ病の治療やカウンセリングは効果的な手段であり、個別の症状や状況に合わせたアプローチを提供してくれます。
また、プロはあなたの状態を理解し、適切なサポートを提供する専門知識を持っています。
彼らとの対話を通じて、自己理解が深まり、うつ病との向き合い方が明確になるでしょう。
人に頼らず自分で解決しようという時期は既に通り過ぎていることを理解し、適切な治療を受けましょう。
うつ病と感じられるレベルにおいて、ひとりで何とかするという認識はとても危険です
職場の同僚や家族の支援体制の構築
うつ病の克服において、周囲からのサポートは非常に重要です。
家族や職場の同僚とのコミュニケーションを通じて、あなたの状態や感情を共有することが大切です。
職場においては、あなた自身の状態を理解してもらった上で業務分担を見直したり、あるいは一時的にあなたの担う業務を分散したりするなどの対策を上司にとってもらいましょう。
その間あなたはゆっくりと今までの疲れを癒すことに意識を向けていればOKです
同様に、家族の支援もうつ病の克服において不可欠です。
家族が回復プロセスをサポートし、理解を示してくれることで自身の感情の安定をもたらします。
過去の研究でも、家族の支援はうつ病の予後に影響を与えるとされており、共感的な関係が回復を支える要因となることが報告されています
家族や同僚とのコミュニケーションを通じて、あなたは孤立感を軽減し、回復に向けて前向きに取り組んでいけるようになります。
復帰に向けた休職制度とトレーニングプログラムの利用
うつ病を克服して復職するためには、適切な休養と準備が必要です。
幸いにも公務員は福利厚生が充実しており、復帰に向けた体制が整っています。
別記事では公務員の休暇や休職を含む福利厚生について解説しております。
休職制度を利用して適切な休息をとることが、回復の重要な要素となります。
まず、休職における手続きアレコレは全部管理職にお任せしましょう。
診断書等の必要書類を提出するよう言われますが、そのまま言われたとおりに提出すれば大丈夫です。
収入もいきなりゼロになることはありません。
80%の給与であったり、共済組合からの休業手当金がしばらくは支給されますのでご安心を。
また、復職後すぐに同様の職務に戻るのではなく、経過を見ながらトレーニングプログラムを実施する自治体もあります。
要は心のリハビリですが、これによって自己効力感・有用感を高め、新しい状況に適応するためのスキルを身につけることに役立ちます。
休職制度を活用して十分な休息を取ることで、うつ病の克服に向けたエネルギーを蓄えることができます。
また、復職後も新たなスタートに向けて準備を整えることができます。
公務員はこうした支援体制が充実していますので、焦らずに自分のペースで職務復帰を目指してください。
公務員でもうつ病になりますがじっくり治療できる体制があります【まとめ】
公務員の仕事は公共の福祉を考えた行政サービスであり、信頼性、責任感、ストレスが伴います。
統計によれば、公務員のメンタル休職率は国家公務員で1%強、地方公務員で1%弱となっており、うつ病が主な原因とされています。
また、業務プレッシャーや政策変更への対応、超過勤務による心身の疲労がリスクを増加させることが示されています。
また、環境が変わる4月~7月までの間も要注意。
これらがうつ病の要因とされ、役割の不整合などの自己の価値観や能力と役割の期待が一致しない場合、ストレスが蓄積しやすくなるとされています。
うつ病の兆候は感情的、身体的、認知的な症状が含まれ、これらが長期間続く場合、うつ病の可能性が高まるとされています。
いずれも早期発見が重要であり、適切な治療を受けることが先々のライフプランに影響します。
ストレス管理と心のケアが公務員の心の健康を保つために重要であり、運動や趣味、リラクゼーション法が有効です。
日頃から自己効力感を高めて物事に積極的にチャレンジすることもストレスへの対処に役立ちます。
公務員がメンタルヘルスに対応するためには、環境の変化に注意し、自己評価とストレスチェックを行うことが重要です。
コミュニケーションを通じて同僚や上司と信頼関係を築き、メンタルヘルスの問題を共有することも早期対応の一環です。
専門家のカウンセリングや治療を受けることも重要であり、家族や職場の支援体制の構築がうつ病の克服に寄与します。
うつ病を克服するためには自己の向き合い方が重要。一人で抱えずに専門家のアドバイスや周囲からのサポートを遠慮せずに受けましょう。
その間、適切な休養とトレーニングプログラムを利用し、復職への準備を整えることも重要です。
最後に、もしうつ病と診断されても、心配は要りません。
・急な退職勧告はナシ
・給与は当面の間保証
などなど、公務員には充実した支援体制があります。
これらを活用して、焦らずに自身のペースでうつ病を克服する道を歩みましょう。