公務員の交通費はどうなっている?【元公務員が解説します】
「公務員の交通費の仕組みってどうなってるの?」
「通勤手段によって交通費は支給されない?」
「出張時は何か補填されるの?」
このように考えたことは抱えていませんか?
私も公務員になってから、給与以外の支給ルールがよく分かっておらず、同じような疑問を持っていました。
簡単にいうと、公務員の交通費は、主に「通勤手当」と「出張旅費」の2種類に分かれており、それぞれに支給基準があります。
たとえば、通勤手当は片道2km以上の距離であれば支給されますが、自転車や徒歩通勤だと支給されないことも。
また、出張時には別途旅費が規定に基づいて支給されますが、実費弁償とはならないこともあります。
交通費全般に関する規則は結構複雑で、上限や支給条件もケースによって異なります。
この記事では、あなたが抱える交通費の疑問を解決するために、わかりやすく解説していきます。
私は20年地方公務員として勤務してきました。
自治体によって規定は異なりますが、参考になる部分もあるかと思います、ぜひ最後までお読みください。
公務員の交通費はどう支給されるの?
通勤手当の基本ルールと支給対象
公務員の交通費として、よくイメージされるのが「通勤手当」です。
自宅から職場までの交通費分として支給してくれるものです。
ルールは各自治体によって決められているものですが、一般的に通勤距離や交通手段によって以下のような条件があります。
①経済的かつ合理的な経路の距離が片道2km以上。
②車・バイク・電車での通勤であること
①の経済的かつ合理的な経路というのは、ざっくり言うと「最短経路」。
回り道をして距離を稼いでも意味ないですよ。ということです。
つまり、自宅から職場までの最短距離が2km未満の場合、通勤手当は支給されません。
下図の通り、通勤距離が2km以上で、はじめて通勤手段に応じた手当が支給されます。
通勤手当の支給額基準表 | |
通勤距離(片道) | 通勤手当 |
2km未満 | 0円 |
5km未満 | 2,000円 |
5km以上10km未満 | 4,200円 |
10km以上15km未満 | 7,100円 |
15km以上20km未満 | 10,000円 |
20km以上25km未満 | 12,900円 |
25km以上30km未満 | 15,800円 |
30km以上35km未満 | 18,700円 |
35km以上40km未満 | 21,600円 |
40km以上45km未満 | 24,400円 |
45km以上50km未満 | 26,200円 |
50km以上55km未満 | 28,000円 |
55km以上60km未満 | 29,800円 |
60km以上 | 31,600円 |
この表はあくまで参考値。本自治体ではガソリン価格に連動するために、頻繁な金額改定が行われていました。
また、長距離通勤において、高速道路を利用することが適切だと認定されれば、毎日の高速道路代も支給されます。
通勤手当は、車であれば毎月、電車であれば6ケ月定期分をまとめて給与に合わせて支給されます。
ただし、交通費の実費や通勤距離に応じた上限額が設定されているため、全額が支給されるわけではありません。
また、住んでいる地域や職場の規定によって、細かいルールが異なることもあります。
もし何か変更があった場合(引っ越しや通勤方法の変更など)、早めに職場に報告する必要があります。
申告が遅れた場合、手当が正しく支給されなかったり、過払いとなった場合には返還が求められることもあります。
自転車や徒歩通勤は交通費の支給対象?
自転車通勤の場合は、支給されるかどうか自治体によって様々。
徒歩通勤は、基本的に交通費は支給されないケースが多いです。
なぜなら、電車やバス・車と異なり、明確な交通費の実費が発生しないためです。
自転車通勤に関しては、自転車での通勤が多い地域や、環境保全を意識した自治体で、少額の通勤手当を支給しています。
自転車通勤で手当が出るのは嬉しいですよね、運動にもなるし一石二鳥です。
近年はロードバイクや電動自転車など、走行性能もあがっているため、自転車の手当が支給されるのであれば、検討するのも良いのではないでしょうか。
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通勤手当には支給上限がある
上記にも示した通り、通勤手当には、上限額が設定されています。
例えば、自家用車やバイクの場合、通勤距離に応じて一定の金額が支給されますが、距離と金額の上限が設けられており、以降は同一の金額になってしまいます。
ただ、毎日の通勤で50km以上を通勤経路にする方ってなかなか見ないです・・。
そこまで遠方に着任するのであれば転居をする人が多数ですね。
日々の仕事に加えて、あまりにも遠方からの通勤になると、毎日の移動負担や、交通事故の危険性も高まります。
また、早く帰って休みたい気持ちが先行してしまい、ついついスピード違反となってしまうことも考えられます。
家庭を持っていたり、特段の事情が無い場合は、転居も考えてみてください
実家から離れて家を借りる際には、条件によって家賃補助が支給されますので、あまりに長い通勤にならないよう、勤務先周辺に引っ越すのがオススメです。
具体的な通勤の上限額や転居した際の手当は、勤務先や自治体によって異なることが多いので、職場の人事部門や給与担当者に確認するのが確実です。
通勤時の「手当」と出張時の「旅費」の違い
出張時に支給される旅費の概要
公務員の交通費には、通勤用として毎月の給与に支給される「通勤手当」と、出張時に実費弁償として支給される「旅費」があり、この2つは別ものです。
通勤手当は毎日の通勤に対して支給されるもの。
旅費は、出張時に勤務先から指定された場所へ向かう時に掛かった費用が、都度支給されます。
旅費の中身としては、交通費や宿泊費、日当などが含まれます。
具体的には、
・出張先までの移動に使った電車や飛行機などの交通費
・ホテルや宿泊施設の宿泊費用
・さらに食事や細かい経費をカバーする意味での日当
これらが支給されます。
ただし、全ての出張費用が自動的に支給されるわけではないので、事前に申請や事後の報告など職場のルールを確認しておきましょう。
また、悲しい話ではありますが、支給されたとしても実費分を全て賄えるとも限りません。
あくまで旅費規程に基づいた支給であることを理解しておきましょう。
出張旅費の支給ルールと申請方法
出張旅費は、出張前申請、出張後報告となることが一般的です。
支給対象になる交通費は、最も合理的で経済的な手段を選ぶことが求められます。
多くは「公用車」の利用になることが多いので、実費負担はそこまで発生しないですけどね・・・
例えば、電車の場合、特急や新幹線の利用が許可される場合もあれば、距離によっては普通列車のみが支給対象となることもあります。
出張から戻った後は、速やかに交通費の領収書や乗車券を職場に提出し、支給申請を行います。
申請漏れや、実際には利用していない出張の交通費を申告してしまうと、不正受給とみなされる可能性があるため、注意が必要です。
【うっかりでは済まない】不適正受給の注意事例
転居や通勤方法変更による届け出漏れ
通勤手当や出張旅費の受給において、誤って不適正な受給をしてしまうケースがしばしば発生します。
例えば、通勤手当において、引っ越しや通勤手段の変更があった場合、すぐに届け出をしないと、旧住所や通勤手段に基づいて不適正に手当が支給され続けることがあります。
この場合、後から過剰支給分の返還を求められることになりますので、変更があった際は早めに職場に報告することが大切です。
なお、当たり前ですが、意図的に自分に利益があるよう受給するのはNG。懲戒処分の対象になります。
中止や変更になった出張の取消申告漏れ
出張が急に中止になった場合でも、事前に交通費や旅費を申請していることがあります。
この場合、速やかに取り消し申告を行わないと、実際には出張していないにもかかわらず、旅費が支給されてしまうことがあります。
それ以外にも
・目的地が急遽変わった
・宿泊でなく日帰りだった
このように、突然の変更があったにも関わらず、従来通りの申請をしてしまうことに注意しましょう。
これも不適正受給に該当するため、注意が必要です。
特に公務員の場合、こうした申告漏れは厳しく対処される可能性があるため、細かい手続きにもしっかりと気を配りましょう。
公務員の交通費まとめ
公務員の交通費について解説してきました。まとめると以下の通りです。
- 公務員の交通費は、主に「通勤手当」と「出張旅費」の2種類に分かれ、それぞれ異なるルールに基づいて支給される。
- 通勤手当は、職場への通勤にかかる費用に対して支給され、各自治体の規定に従う。
- 出張旅費は、業務上の出張にかかる費用をカバーし、事前申請が必要である。
通勤手当の基本ルールと支給条件
- 通勤手当は、片道2km以上の経済的かつ合理的な通勤経路が必要条件である。
- 車やバイク、電車など、交通手段に応じて通勤手当が支給されるが、徒歩や自転車は基本的に対象外。
- 通勤距離に応じた手当額は、距離が増えるごとに増加し、例えば片道5km未満なら2,000円、60km以上は最大31,600円程度まで支給される。※増減あり
- 電車通勤の場合は6カ月定期分がまとめて支給され、車通勤の場合は毎月支給される。
- 交通費の実費や通勤距離に基づいた上限が設定されているため、全額が支給されるわけではない。
自転車や徒歩通勤に関する支給
- 自転車通勤の場合、自治体や職場によっては少額の通勤手当が支給されることがあるが、徒歩通勤はほとんどの場合、支給対象外である。
- 職場と自宅の距離が近い場合や、交通手段を使わない場合は、通勤手当の支給対象から除外される。
通勤手当の上限額
- 自家用車やバイク通勤の場合、通勤距離に応じた支給額には上限が設定されている。
- 長距離通勤で自家用車を使う場合、上限に達する可能性が高く、交通費全額が支給されるわけではない。
- 職場や自治体によって、具体的な上限額は異なるため、事前に確認が必要。
出張旅費の支給と申請
- 出張旅費は、業務に伴う出張で発生する費用をカバーし、交通費や宿泊費、日当が含まれる。
- 申請時には、最も経済的かつ合理的な交通手段を選択することが求められ、特急や新幹線の利用は場合によって許可される。
- 出張から戻った際には、速やかに領収書や乗車券を提出し、支給申請を行う必要がある。
- 実費分全額が支給されるわけではなく、あくまで旅費規定に基づいた支給となるため、事前に規定を確認しておくことが重要。
不適正受給のリスクと注意点
- 引っ越しや通勤方法の変更があった際には、速やかに職場に報告し、適正な手当を受給するように注意する必要がある。
- 報告が遅れると、不適正受給となり、過払い分を返還しなければならないことがある。
- 意図的に不正受給すると、懲戒処分の対象となる。
- 出張のキャンセルや変更があった場合も、速やかに申告し、不正受給を避けるようにする必要がある。
地方自治体ごとに細かい手当額等についての違いがありますが、基本は国家公務員の制度に沿って決められています。
各自治体の通勤手当や出張旅費の詳細については、担当部署によく確認してみましょう。
一番の注意点としては、うっかり不正受給してしまうことです。
財源は税金ですから、くれぐれも安易な自己判断で受給してしまうことのないよう、注意してください。