公務員の人気がないってホント?【元公務員が解説します】

「最近、公務員の人気がないって聞いたけど、本当に大丈夫?」
「でも、人気があるとも聞くんだけどどっちが正しいの?」
「民間企業の方が成長できる気がするけど、公務員のメリットって何だろう?」
このような悩みを抱えていませんか?
最近youtuberやインフルエンサーなんて新しい肩書きが出てきて、なりたい職業ランキングにも変動が出てくる時代です。
時代とともに価値観が変わってきているのを感じますよね。
そこで、この公務員の人気アリナシ問題についてズバッと切り込んで解説していきます。

長年公務員として働いてきた私の経験を基に、リアルな内容に迫っていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
公務員の人気は本当にない?現状をチェック

「公務員は人気がない」と言われますが、果たして実際どうなのでしょうか。
採用試験の申込者などの公式データを基に見てみましょう。
公務員志望者は減少傾向
公務員は以前、安定した職業として多くの学生に人気がありましたが、近年ではその人気に陰りが見えています。
人事院の調査によると、公務員志望者の数は減少しており、特に国家公務員一般職の人気は低下傾向です。

(引用:公務inHPより)
この流れは、地方公務員も同様です。
日本経済新聞社が、都道府県と政令指定都市に「大卒程度の一般行政職」の採用試験の競争率を尋ねたところ、2022年度の競争率が2018年度より低下した自治体は7割に上っているとのこと。
このような統計からも、民間企業が提供する多様な働き方や、給与の伸びが魅力的に映り、就職先として民間を選ぶ学生も増えていることが分かります。
公務員の人気低下の要因
公務員の人気がないと言われてしまう背景としては、現代の時代背景が大きく影響しています。
主な要因としては以下が挙げられます。
働き方の多様化
働き方の多様化が、公務員の人気低下の一因です。
リモートワークやフレックス制度、さらには副業の容認など、民間企業が提供する柔軟な働き方が若者に支持されています。

また、インスタグラマーやユーチューバーなどの新しい職業の形も出てきていますよね
一方で、公務員はまだまだ規制が厳しく、自由度が低いと感じられるため、学生にとって魅力が薄れています。


霞が関国家公務員のブラックなイメージ
霞が関の国家公務員が長時間労働や、過酷な労働条件にさらされているという報道も、公務員のイメージ悪化につながっています。
背景には、「ブラック霞が関」とも言われ、長時間労働が常態化していることがある。
国会の開会中は、国会議員から質問内容を事前に聞き取り、閣僚の答弁を作成する作業が深夜に及ぶ。
職員からは「給与が労働時間に見合っていない」などと不満の声が出ている。
(引用:読売新聞オンライン)
学生の間では「ブラック企業」と同様のイメージが広まり、公務員全体を敬遠する要因になっています。
民間企業の積極的な賃上げに対抗できない
近年、民間企業は物価高に対抗するために、積極的に賃上げや待遇改善を行い、優秀な人材の確保に努めています。
厚生労働省の調査によると、令和7年の春季賃上げは多くの産業で前年よりも高い水準となりました。
以下は主要産業の妥結額と賃上げ率です。
産業 | 平均年齢 | 妥結額(円) | 賃上げ率(%) |
---|---|---|---|
自動車 | 39.8歳 | 20,553円 | 5.96% |
電気機器 | 39.2歳 | 22,073円 | 5.99% |
機械 | 40.9歳 | 21,902円 | 5.63% |
化学 | 38.7歳 | 20,272円 | 5.41% |
建設 | 40.3歳 | 15,614円 | 4.92% |
サービス | 42.3歳 | 16,090円 | 4.93% |
平均(390社) | 40.0歳 | 19,538円 | 5.52% |
グラフで見ると「自動車」「電気機器」が突出して高い賃上げ率を示しており、製造業全体をけん引していることが分かります。
(参考:厚生労働省 春季賃上げ妥結状況)
これに対して、公務員の給与は安定しているものの、中小企業との均衡を図るために劇的な伸びが少ないです。

将来性のあるキャリアや、給与体系を求める学生にとって、民間企業の方が魅力的に映るのは自然な流れであり、公務員は後手になっていることがわかります。
民間企業と公務員の人気を分けるものとは?

公務員の採用形態についても、人員不足となる要素を秘めています。
民間企業の採用方法と比較していきましょう。
公務員試験と民間企業の採用時期の違い
公務員になるためには、公務員採用試験を受ける必要があります。
試験自体は年齢制限等を除けば、多くの人が受けることができます。
しかし、公務員試験は
・筆記試験
・面接
・適性検査
・論文
などがあり、一定以上の成績を収めなければなりません。
また、受験機会についても年に1回程度と機会が限られており、不合格の場合には次年度まで待たなければなりません。

公務員でも、自治体や職種で微妙に試験日程が違うので、時期をズラして何度か受けることは可能ですが、大体1ケ月以内に集中していることが多いです。
一方、民間企業の採用試験は、エントリーシートや面接を中心とした選考で、企業ごとに基準が異なります。
募集時期も4月採用が多いですが、なかには中途採用などもあり、入社機会は多め。
つまり、公務員を諦めた人達が、民間企業に流れることも多いです。
採用試験突破後のメリットとデメリット
晴れて公務員試験を突破すると、定年まで安定した職に就くことができます。
疾病等で、もし長期で休業せざる得ない時でも、休業制度や復帰までの過程もサポートされているので、仕事を続けていくことができます。
→【知らなきゃ損】地方公務員の福利厚生を元公務員が丁寧に解説
しかし、試験突破後のメリットは”安定性”が中心。
民間企業と比べて柔軟な働き方ができないことが、デメリットです。

そのため、苦労の末に試験突破してまで就く価値を感じられない人には、公務員の魅力は感じられないでしょう。
一方、民間企業で採用後は企業の業績や成長にともなって、収入が大きく変動します。
しかし、個人の能力や企業の業績次第で、突然解雇される可能性があります。
もし、そうなれば再度就職活動を行う必要があるので、これまで築き上げてきたキャリアがゼロになってしまうこともあります。
このように、民間企業と公務員どちらも一長一短。
あなたの価値観次第でどちらが魅力的か変わってくるでしょう。
学生から見た公務員の魅力とは?

抜群の安定した雇用体系
繰り返しになりますが、公務員の最大の魅力は、安定した雇用体系です。
多くの方が真っ先に答える公務員のイメージではないでしょうか?
まさに、そのイメージ通りです。
実際に、重大な違反行為で懲戒免職とならなければ、公務員の身分は法的に保障されています。

経済状況が悪化しても、解雇のリスクが低いことは多くの志望者にとって安心材料です。
また、定年まで働ける保証があり、退職金や年金制度もしっかりしているため、将来的な不安が少ないのが公務員の強みです。
地域貢献と社会的地位
公務員は社会に貢献できる仕事です。
地方公務員であれば地域の住民のため、国家公務員であれば国のために働くことができ、やりがいを感じる人も多いです。
仕事内容も幅広く、異動によって様々な業務に携わることになります。
また、社会的地位も高く、異性、親世代、金融機関からの評価も高い職業です。

カード審査も問題なく通りますし、住宅ローンは、大企業社員と同等の評価で、低金利かつ長期間組めますよ!

社会的地位の高さは、自分の人生の選択肢を増やし、豊かにしてくれます。
これは大きな魅力の一つです。
【人気のイメージ通り?】元公務員の経験から見る実態

安定した雇用について
元公務員としての経験から言えば、給与は決して高いわけではありませんが、年1回確実に昇給していきます。
そのため、30代になれば民間企業と比較しても、そこまで開きが無いそこそこの年収になります。
一方で、20代の若いうちは、民間企業の同世代と比較しても給料が低く、業務量に見合っていないと感じることも多いです。

特に、長く勤めることで一定の昇進も見込めるため、公務員として勤めている限り、生活基盤をしっかりと築くことができます。

一定の根強い人気があるのも分かりますね!
ただし、中途退職には注意が必要です。
公務員は雇用保険に加入しておらず、退職手当で補いますが、失業給付はありません。
職業訓練もできず、身に付くスキルも行政に特化した専門的なものが多いため、再就職には苦労する可能性があります。

職場環境や人間関係について
また、多くの職場内では、職員間の関係性も良好な環境であり、休暇もしっかり取れて仕事とプライベートのバランスを取りやすいです。
公人としての立場があるので、理不尽な働かせ方や、パワハラなども少ない方だと思います。
ただし、配属部署によっては、休日返上で働くような激務であったり、仕事がツラいと感じてしまうことは事実です。

不況時に異常な公務員人気のサイクルがある
不況時には、民間企業が不安定感よりも、公務員の安定性が際立つため、人気が急上昇します。
これは景気が悪化するたびに繰り返される現象であり、公務員試験の競争率が高まります。
このようなサイクルがあるため、将来的には公務員の人気が再び高まる可能性も考えられます。

景気が良い時は、公務員は安月給だと判断され、不況時には「税金使って〇〇××・・・。」とか言われてしまうのが公務員の切ないところです
志望者が多いと優秀な人材が増える。逆もしかり
当たり前のことですが、高倍率の試験を突破した新人さんは優秀な方が多い傾向にあります。
一方で、人気が無いと人材確保に悩みます。

急に職場に来なくなってしまったり、自信と実力が伴っていない新人さんだったり・・・。
背に腹は代えられないので、募集のハードルを下げることもありますが、行政サービスの質が低下し、やがて「公務員は無能」だと住居からクレームをもらう結果となります。

公務員の人気に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 公務員は本当に人気がなくなったのですか?
A1. 完全に人気がなくなったわけではありません。
人事院や総務省のデータによると志望者数や競争率は下がっていますが、「安定した職業」として一定の支持は残っています。
特に不況時には再び倍率が上がる傾向があります。
Q2. 国家公務員と地方公務員では人気に違いがありますか?
A2. はい、違いがあります。
国家公務員は長時間労働や激務のイメージから人気が下がりやすく、地方公務員は地域密着で働けるため比較的安定した志望者がいます。
ただし、地方でも競争率は全体的に低下しています。
Q3. 公務員の人気がない理由は、結局のところ何ですか?
A3. 簡単にいえば主な理由は「働き方の硬さ」「給与の伸びの少なさ」「霞が関の激務イメージ」です。
一方で、解雇リスクの低さや社会的信頼の高さといったメリットは根強い魅力です。
Q4. 将来的に公務員の人気は回復する可能性はありますか?
A4. あります。
景気が悪化すると安定性が重視され、公務員試験の倍率が急上昇します。
逆に景気が良いと「民間でチャレンジしたい」と考える人が増えるため、公務員の人気は景気とともに波があります。
Q5. 公務員を目指すなら今のタイミングは有利ですか?
A5. 志望者が減っている今はチャンスとも言えます。
競争率が下がっているため合格可能性は高まります。
ただし、制度や採用数は年度ごとに変化するため、最新情報を必ず公式サイトで確認してください。
(参考:人事院(国家公務員試験情報)/総務省)
公務員は不人気と人気の波が交互に来る 【まとめ】
公務員の人気について解説してきました。まとめると以下の通りです。
公務員人気の現状
- 以前は公務員が安定職として人気だったが、近年は志望者が減少。
- 国家公務員だけでなく、地方公務員の競争率も下がっており、多くの自治体で公務員人気が低下している。
- それでも、安定した収入や職場環境は一定層に支持されている。
- 民間企業の多様な働き方や賃金の伸びが学生に魅力的に映り、公務員人気が相対的に低下。
- 景気が悪化すると、公務員人気が再び上昇する傾向がある。
公務員人気低下の要因
- 働き方の多様化
リモートワークやフレックス、副業が可能な民間企業が魅力的。
- 霞が関国家公務員のブラックなイメージ
長時間労働や過酷な労働条件がイメージを悪化させている。
- 民間企業の積極的な賃上げ
民間企業が物価高に対応し賃上げを行う一方、公務員の給与は安定しているが伸びが少ない。
民間企業と公務員の比較:試験と採用の違い
- 公務員試験の特徴
筆記試験や面接があり、成績が重要。一度の試験で合否が決まる。
受験資格さえあれば誰でも受けられる
- 民間企業の採用試験の特徴
エントリーシートや面接を中心に、複数の企業に挑戦できる。
学歴フィルターがある
- 試験を突破した後のメリット
公務員は安定した職に就けるが、給与や昇進の伸びは限定的。
民間は業績次第で変動する
- デメリット
柔軟な働き方や大幅な給与アップを期待しにくく、魅力を感じないと捉える場合もある。
学生から見た公務員の魅力
- 安定した雇用体系
解雇リスクが低く、定年まで働ける。退職金や年金制度も充実している。
- 地域貢献と社会的地位
地域や国に貢献でき、社会的な評価が高い。異性や親世代からも信頼されている。
金融機関の属性評価も大企業なみ。
元公務員の経験談
- 給与・職場環境
給与は高くはないが安定している。職場環境もおおむね良好で、仕事とプライベートのバランスが取りやすい。(部署によって仕事量に偏りあり)
- 不況時の公務員人気
不況時には民間の不安定さが際立ち、公務員人気が高まる。
結果として試験の倍率が急上昇する。
- 志望者と優秀な人材の比例
競争率が高いと優秀な人材が集まり、逆に人気がないと人材不足で行政サービス低下の問題が発生する可能性がある。
公務員の人気は時代によって移り変わります。
今は公務員の人気がないと言われていますが、数年後には評価が変わっている可能性も十分にあります。
しかし、その時代が来てから公務員を志望しても、あなたのキャリアはすでに変えられない所まで来ているかも知れません。
人気で選ぶよりも、自分のやりたいことや、求めていることで選択すると、良い人生を築けるのではないでしょうか。
公務員という職業の中にそれが見いだせるのであれば迷う必要はありません。
試験突破に向けて着々と努力を続けましょう。
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