公務員が勝ち組?そうとも言えない理由4選【元公務員が断言】
公務員は、多くの人々にとって安定性をイメージさせる魅力的な職業です。
しかし、外部と内部でその認識に乖離があるようです。
「公務員はどの辺が勝ち組なの?」
「本当に勝ち組と言えるの?」
「勝ち組でないとされる理由は?」
など、色々と公務員の待遇について気になりませんか?
私も採用されるまでは魅力的に感じていましたが、実際に公務員として20年働いてみると、勝ち組と言えるかどうか色々と感じるところもありました。
勝ち組か勝ち組でないか。果たして真相はどうなのでしょうか?
結論として、正直「勝ち組」と言うのは微妙。
業務量に見合わない給料や、定例的で独特な業務を感じることはありますね・・・
また、多くの同僚にも確認してみましたが、渋い反応が多数でした。
そのような体験と共に、理由を踏まえて、公務員が「勝ち組」とは言い難い要因となっている状況をお伝えします。
本記事から、しっかりと自分の価値観と、人生設計を照らし合わせて、より意義深い選択と行動をしていきましょう。
公務員が勝ち組とも言えない理由4選
公務員は、多くの人々にとって安定性をイメージさせる魅力的な職業ですが、私にとっては「勝ち組」とは言えない理由が存在します。
また、何人かの同僚にも
「公務員って優遇されているのかなぁ・・?」
と聞いてみたことがありますが、
「当然優遇されているに決まっています!」と答える人はおらず、渋い反応が多数でした。
待遇については上を求めたらキリがありませんが、働き方や業務の在り方等、いくつもの要因が複合的に絡み合ってそのような返事になっている気がするんですよね・・
そのような体験と共に私が勝ち組と言えない以下の3つの理由をご覧ください。
理由その1:給与は民間大企業と中小企業の間くらい
公務員の給与が大企業より低く、中小企業よりやや高い理由は、主に公務員の待遇を司る機関である人事院の調査比較に基づいています。
公務員の給与は、民間企業の事業規模50人以上の給与平均を調査し、それを公務員の現在の給与水準と照らし合わせて毎年調整しています。
詳しい給与の仕組みについてはコチラの記事で解説しています。
イメージとしては、大企業>公務員>50人規模以下の企業 という構図ができます。
これを充分と感じるか少ないと感じるかは人それぞれでしょう。
しかし、上には上がおり、同年代で公務員の2倍以上の給与を得ている人がそこそこいるのも事実です。
そう考えると、公務員になったことで「勝ち組」を名乗るには、やや恥ずかしいように思います。
さらに、公務員は副業が原則禁止されています。
つまり、定期昇給以外の収入UPの方法が限られているという事実があります。
株取引等は認められていますが、恒常的な収入とすることはなかなか簡単なことではありません
そして、肝心の定期昇給も確実ではありますが、スタートは低い水準から非常に緩やかに上昇していきます。
その為、若年層の給与は他業種を含めた新卒給与の中では低い部類に入ります。
理由その2:公務員としての仕事が退屈に感じる
公務員の仕事は退屈に感じるときがあります。
・独特の単調な業務
・回りくどい内容
こういったやりがいを感じない部分があったり、公務員の世界以外で活きることのないスキルや知識が身についていきます。
これを退屈に感じるかどうかは人それぞれですが、少なくともバリバリ仕事をして出世していきたいと感じる人には違和感を覚える部分があるでしょう。
実際に私がそうでした。「これは一体何の意味があるのか?」と、ひどく時間を浪費しているような気がしてしまいましたね・・
また、報酬が上積みされないのも、やる気という部分で退屈に感じてしまいがちです。
どれほどの成果であっても、給料は毎月ほぼ同じ。
まるで自分の成果が一切評価されていないようで、モチベーションも低下して退職していく人もいます。
ある程度の報酬の中で退屈と感じる業務・・。正直世間一般的な「勝ち組」の姿とは遠いのではないでしょうか。
理由その3:自身の成長(伸びしろ)を感じない
自分の中での成長を感じにくいというのも公務員あるあるです。
公務員の常識は民間で通じないと言われるほど、業界独自の箱を作り出しています。
特有業務に携わっているだけに、数字にこだわらなかったり、あえて具体性を持たせなかったりして、世間一般とのズレを感じる時があります。
また、組織全体が変化に疎く、保守的な面も多いため、時代に追いついていない部分も見られます。
特にIT全般に関する時代の遅れは顕著です。しかし、その遅れが致命的な問題とならず成り立ってしまう公務員業界の独自性があります
また、公務員の仕事は一部の分野で、自身の選択や決定権もなく、業務がひどく制約されていると感じられることがあり、これが成長の機会を奪ってしまいます。
つまり、自己成長やスキルの向上に取り組む機会が限られていると感じることが多いということです。
理由その4:激務で給与が割に合わない
同じ公務員でも様々な職種がありますが、役所でいうと部署によって業務量が大きく変わってきます。
激務部署に配属されると時間外勤務は月に数十時間。
予算の都合上、一部ボランティアタイム(サービス残業)になってしまうこともあり、この給与ではとてもやっていられないと嘆く職員もチラホラいます。
なぜ公務員が勝ち組に見える?理由4選
公務員が勝ち組に見られる理由は、安定性、給与、福利厚生など多くの要因が組み合わさっています。
勝ち組かどうかはさておき、元公務員の私としては、魅力的な部分もあると言えます。
その理由を以下に絞ってみました。
理由その1:安定した雇用
業績に左右されず、原則懲戒以外の解雇がないというのが大きいです。
この部分は昔から公務員神話として語り継がれてきていますね。
なりたい職業上位の理由です
一度採用されれば、定年退職まで雇用する。
これは、民間企業にはできないことです。
限りなく解雇を抑えることは可能かもしれませんが、定年まで雇い続けますという確約はできないでしょう。
この公務員の安定した雇用は、時に周囲の羨望につながることもあります。
エイブラハム・マズローの「欲求段階説」によれば、人は基本的な生存や安全への欲求を満たす必要があります。
公務員は一般的に解雇のリスクが限りなく低く、長期間にわたって安定的な収入を維持できるため、安全性を確保できると感じられる。
それが周囲に「勝ち組である」と見られることもあるでしょう。
理由その2:定期昇給・賞与・各種手当が備わっている
公務員の給与体系には定期昇給・賞与に加え基本的手当が組み込まれていることが一般的です。
毎年1回、段階的に給与のベースアップが行われ、期末勤勉手当といわれるボーナスが年2回(計約4カ月分)支給されます。
手当については、通勤、住宅、扶養手当などが基本給とは別に受給できます。
また、公務員は昇給や賞与(ボーナス)が業績やノルマ関係なく支給されます。
つまり、世間でどんなに不況のニュースが流れていても、ある一定の報酬に対する期待と予測が立てやすいということです。
さらに、定期昇給は生活の安定感を高めてくれます。
日々のお金のやりくりを考える必要があまり無いという経済的なプレッシャーを軽減する効果があります。
これは、公務員の給与体系が魅力的とされる理由の一つで、勝ち組と捉える人もいるでしょう。
理由その3:福利厚生面が充実している
公務員は福利厚生が充実していることが多く、これは生活の品質とライフプランに直結します。
- 通常の休暇、結婚、出産前後休暇、家族看護の特別休暇
- 療養や育児休業、休職中の保証
- 扶養制度、通勤や住宅手当
- 健康診断等補助多数
- 公務員専用保険や年金積立
心理学的には、これらは「生活満足度」に関連しており、生活の質を高め、幸福感を増加させてくれます。
公務員の福利厚生は、個人や家族の安心感を提供し、家庭内の余計なストレスを軽減してくれます。
そして、組織内での職務に専念することができ、より長期的なライフプランを築きやすくなります。
安定的な雇用以外のオプションまで付いているので、人によってはこれ以上ないくらい勝ち組だと感じる人もいるでしょう。
理由その4:大企業と同等の信用力
公務員は住宅ローン等を利用する際、金融機関に大企業と同等に評価されます。
金融機関はその人の持つ信用力で借入可否と利率を決めていますので、かなり低い金利でローンを組むことができます。
特に住宅ローン等の長期かつ大きな金額の借り入れは1%利率が変わるだけで、返済額に大きな差が出ます。
最終的な返済額が少なくて済むというのは、非常に良いことですよね。人によりますが、車1台買える程の差が出る場合もあると思います。
それとは別に、周囲に与える評価にも安定感があります。
異性に対するアプローチや、その親族。ご近所付き合い等においても優位に働くでしょう。
人によっては、大企業の民間企業よりも、公務員とのお付き合いを推す方もいらっしゃいます。
そういった見えないアドバンテージが公務員という職業にはあります。
民間企業より公務員をオススメできる人
公務員は勝ち組かどうかを判断できるのは、その人次第です。
ただ、オススメできる人とそうでない人は経験から何となくわかります
以下を参考にして自分が合っているかどうか判断してみてください。
とにかく安定志向の人
「やりがいも成長も、業務が退屈であろうと関係ない。安定した雇用と給与が最優先事項」
このように割り切れる方はかなりオススメできます。
安定というのは、生活の予測可能性や経済的な安心感を重視し、変動やリスクを避けるということです。
これが公務員の業務にもマッチしているんですよね
公務員は解雇のリスクが低く、定期昇給と賞与があるため、安定志向の人にとって理想的な職種と言えます。
実際にそのようにして修行僧のように淡々と働く同僚がいました。
その方にやりがいや成長の話について触れてみた時に、
「それは人生における優先度においてあまり高くなく、大事なのはこの職業に就けていること」
との事でした。
そういった話を聞いていると、やはり公務員にも適性というものがあるということを感じた記憶があります。
全国転勤が嫌な人(市役所や県職員がオススメ)
警察官や公安系を除いて、公務員の多くは地方自治体や国の機関で働いており、転勤は比較的多くは無い部類です。
望まなければ一般職で平均6年。生涯5、6回程度の転勤になるでしょうか・・
管理職になるとこの異動間隔が短くなり、2,3年程度になってきます。
また、地方公務員であれば、出向を除いて基本的には当該地域外(県採用の職員であれば県外の赴任はほぼない)に異動することはありません。
このため、全国規模の転勤を嫌な人にもオススメです。
転勤が少なく、限定的な範囲であるため、家庭や地域に根ざした生活を築きやすく、家族の安定性を維持できます。
転勤は引っ越し作業や、新しい環境への適応など、様々な苦労があります。
そのような負担を減らしたい人にとって、市役所などの地方公務員職は魅力的であると言えます。
ノルマや社内競争が嫌な人
公務員の仕事は一般的にノルマや競争が少ないため、そのような環境を嫌う人に向いています。
そもそもノルマや競争が少ないことは、仕事におけるプレッシャーやストレスを軽減する要因となることもあるでしょう。
とはいえ、実情としては、それ以外の独特なストレスが掛かってくる場合もあるんですが・・。どの職業でも一定のストレスが掛かることは理解しておきましょう
また、公務員は公正な採用プロセスを経て採用されるため、昇進や役職に関する不公平な競争も少ないと言えます。
〇〇派に属していたので、厚遇されるという社内政治のようなものは薄いです。
不当な扱いを受けることも極めて低いので、周りの評価に左右されず、自分らしく働くことも可能です。
人口(雇用)が少ない地方圏在住の人
雇用が少ない地方にとって、公務員としての雇用はとても魅力的です。
通常、都市圏まで働きに出なければならないことを考えると、役所は各地方に必ず点在しており、一定の雇用があります。
しかし、その分募集も殺到するので、採用倍率も高くなりますが、一度採用されれば長期に渡って地元での雇用が保証されます。
試験突破に自信のある方はオススメの就職先と言えます。
公務員の中の「勝ち組」は管理職昇進
まず、勝ち組の基準を「収入」と「地位」の2つに絞って考えます。
さらに公務員の中で自他ともに「勝ち組」と考えるなら、管理職へのキャリアアップ(昇進)を目指すことが一つの方法です。
以下では、昇進が「勝ち組」と呼ばれるものに近づくのか、また管理職へのキャリアアップを目指すために必要なステップと方法について説明します。
なぜ管理職への昇進が勝ち組なのか?
まず管理職は全員が慣れるわけではありません。
公務員という採用試験をくぐってきたなかで、さらに日常の勤務において高い成績を収め続けてきた人がなれる役職です。
公務員が仮に勝ち組とするなら、「勝ち組の中の勝ち組」になります。
管理職への昇進は、公務員の中でのキャリアアップの一つであり、給与がUPし、管理職ならではの仕事のやりがいを持てることが期待されます。
また、管理職には公務員業界でも高いモチベーションで仕事をし、相応の評価を持った方々が集まっています。
仕事に対して、自分と同じ考えを持った人同士による、より高いレベルでのコミュニケーションが可能になります。
このように公務員業界で勝ち組とされ、自己成長や職業的な成功を追求するためには、やはり管理職への道を進むことが1つであると言えます。
部長、課長、係長・・このような役職は一定の評価がある為、勝ち組であると納得できる部分もあるのではないでしょうか
また、管理職は特に組織的に人をまとめる立場になるため、規模の大きい事業や渉外的な業務に携わり、より地域運営に参画できるようになります。
しかし一方で、組織の一角を束ねるという責任も出てくることを理解しておきましょう。
管理職になるためには実績と試験対策が必要
管理職になるためには様々な力が必要です。その為には自分自身を磨き続ける努力をしなければなりません。
若い内から積極的に学んでいくことで、スムーズな昇進を図ることができます。
資格とスキルの獲得
公務員の中で管理職に昇進するには、関連する資格やスキルを獲得することをオススメします、
公務員として絶対に必要な資格はほとんどありませんが、各分野を包括的に把握できるような資格を取得しておくのが望ましいです。
例えば
- ビジネスマナーに通ずる資格
- ITパスポート等の情報技術に関する資格
- マイクロソフトオフィススペシャリストの資格
- 会計業務が理解できる資格(簿記やFP)
その他にも、リーダーシップ能力、コミュニケーションスキルなど、公務員に必要な能力を兼ね備えた上で、人をマネジメントする力が求められます。
これらのスキルを磨くためには、継続的な学習とアウトプットトレーニングが必要です。
特に、管理職に昇進するためには、リーダーシップの資質を伸ばし、発揮することが重要です。
適切な方向へチームを率いたり、プロジェクトの成功を主導したりすることで、リーダーとしての実力を周囲に証明しましょう。
別の記事では公務員にオススメの資格について解説しています
経験と実績の積み重ね
管理職になるためには、経験と実績を積み重ねることが重要です。
率先してプロジェクトのリーダーを請け負ったり、日頃の業務にはない特別な業務に参加したりすることで、自身の経歴を充実させましょう。
正直、お金にならない仕事もありますが、評価と経験は積みあがります。そして、その恩恵は昇進時に感じることができるでしょう
特に管理職補佐として業務を手伝うことは、自身が管理職を目指すうえで大きな経験となるでしょう。
上司が処理しきれないこぼれた業務を拾って、機会があったら引き受けてみるのも良いのではないでしょうか。
そこで上司からフィードバックを受けつつ、指導と助言を受けることで、自己成長を促進できます。
昇進試験の対策
多くの公務員組織では、管理職昇進試験が行われます。
試験の対策として、試験内容の把握や過去の試験問題の解答、模擬試験、面接対策などを行い、準備を整えましょう。
ただし、これらの試験はテキストを暗記して、知識や行動として再現するもの。
大事なところは日々の業務における内申も含め他にもありますので、スポット的な学習で良いと思います。
ただし、この期間だけは余暇を返上して、仕事しながら勉強をしていかなければなりません。
打診後に受験できるのがセオリーですが、基本は年1回あるかないかのチャンスなので、漏らさないようにしましょう。
公務員全部を勝ち組と言うには微妙だが、管理職は勝ち組寄り【まとめ】
公務員が勝ち組かどうかについて解説してきました。
公務員が勝ち組とも言えない理由3選としては・・・
①給与は低くもないが高くも無い
公務員の給料は大企業と中小企業水準の間くらいで、大企業より低く、中小企業よりやや高いが、上昇の余地が限られており、副業も制限されている。
ベテランになればそれなりだが、特に若手の給与水準は低め。
②仕事が退屈に感じる
公務員の仕事は単調でやりがいを感じないことがある。謎の回りくどい特有の業務もある
③自身の伸びしろを感じない
公務員の業務は他業種に適用できない独特さがあり、自己成長やスキル向上の機会が限られている。
公務員が勝ち組に見られる理由としては・・
①安定した雇用
公務員は業績に左右されず、原則懲戒以外の解雇がないため、安定した雇用を提供する。
②定期昇給と賞与
公務員の給与体系には定期昇給や賞与が組み込まれており、収入の安定感がある。
③福利厚生面の充実
公務員の福利厚生は充実しており、生活の質と幸福感に直結する。
公務員をオススメできる人は・・・
①安定志向の人
とにかく安定した雇用と給与を最優先する人にオススメ。
②全国転勤を避けたい人
公務員の転勤は少なく、エリアが限定されている。
家庭や地域に根ざした生活を築きやすいため、転勤を嫌う人に適している。
③ノルマや競争が嫌な人
公務員の仕事はノルマや競争が少ないため、競争的な環境を嫌う人に向いている。
③人口が少ない地方在住の人
受験倍率は高いものの、地方においては公務員の雇用が魅力的。
公務員の中で自他ともに「勝ち組」となるには・・・
①管理職への昇進を目指す
管理職への昇進は給与の向上と仕事のやりがいを提供し、公務員としてキャリアアップの1つ。
②資格とスキルの獲得
管理職に昇進するために必要な資格やスキルを獲得し、リーダーシップ能力を発揮する。
③経験と実績の積み重ね
経験と実績を積み重ね、特に管理職補佐としての業務を通じてリーダーとしての実力を証明する。
④昇進試験の対策
管理職昇進試験の対策を行い、試験内容の把握や過去の試験問題の解答、模擬試験、面接対策などを行う。
個人的には、公務員が負け組だとは思いません。
かといって一括りに「勝ち組」としてしまうのは懐疑的です。
このテーマの落としどころとしては、「公務員として一般職は勝ち組と呼ぶには微妙ですが、人を束ねる役職に昇進することで、勝ち組という認識に近づくことができるかもしれない」
といった所です。
感じ方は人それぞれですが、意欲のある方は外部の評価を気にせず、自分自身の能力を高め続けて昇進を果たしてほしいと個人的には思っています。
責任は伴うものの、やりがいと収入の2点が満たされるのは素晴らしいことです。
いつか訪れるその時までに、知識と経験を積んで評価を上げておきましょう。
あなたが申し分なく、勝ち組であると周囲に認められ、成功することを願っています。